長編連載

断絶ロジック1
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叶は苛々していた。
あの日、西浦に負けたことが今だに尾を引いていた。自分の最大の力を出したのに、三橋には敵わなかった。何時もグランドの隅で独りで泣いて、友達もいなかった。マウンドも独りで降りていた
俺しか知らない三橋。
なのに…。
久しぶりに見た三橋は、あの頃とは違った。仲間がいた。笑ったり、励ましあったりと三橋は幸せそうだった。
それが死ぬほどむかつくのだ。
最後に三星を選ばなかったことも腹が立つ。
「チッ」
叶は舌打ちした。
「オイ!!真面目にやれよ」
畠が叫んだ。
「うるせーな。だったら他の奴と組めよ」
叶はそのまま部室に帰って行った。
「なんや?あいつ。最近荒れとるなぁ」
二人のやり取りを見ていた織田が横から口を出した。
「あぁ。この間の西浦とやった時からずっとあんな感じ。」
「そやなぁ。昨日もさぼっとったし…」

皆、部活が終わり帰宅していく中、叶は体育倉庫にいた。監督にさぼっていたのが知られてしまい、罰として倉庫の片付けを命じられたのだ。
誰も片付けないそこは、埃まみれでかび臭く、長くいると息が詰まりそうだ。叶は適当にやって10分くらいで帰ろうと思った。

ガラッ。
突然、扉が開いた。
「ちゃんとやってるか?」
織田が叶の着替えとカバンを持って現れた。
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