捧げ物
□未来予想図
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ピンポ―ンと玄関のチャイムが鳴った。
浜田は泉だと思い、確認せずに、ドアを開けた。
「えっ!?」
浜田が泉だと思って開けたそこには、髪の毛を二つに結んで、ピンクのコートを着て、大きなリュックを背負った小さな女の子が立っていた。
状況が上手く飲み込めず、その場に固まってしまう。
いったいこの子はどこの子だろう?
浜田は考えたが、このアパートには、独身の男が四人入居しているだけで子供連れの入居はない。
「君は迷子かな?」
浜田はしゃがんで、女の子と同じ目線になって言った。けれど、女の子はニコニコと笑うだけで、何も言わない。
すると、頭の上から聞き慣れた声がした。
「この子さ、来る途中の公園に一人で居たんだけど、なんか気に入られたみたいで、着いてきちゃったんだよね。で、この子のコートのポケットの中に、メモがあってさ…」