捧げ物

未来予想図
1ページ/30ページ

ピンポ―ンと玄関のチャイムが鳴った。
浜田は泉だと思い、確認せずに、ドアを開けた。

「えっ!?」

浜田が泉だと思って開けたそこには、髪の毛を二つに結んで、ピンクのコートを着て、大きなリュックを背負った小さな女の子が立っていた。
状況が上手く飲み込めず、その場に固まってしまう。
いったいこの子はどこの子だろう?

浜田は考えたが、このアパートには、独身の男が四人入居しているだけで子供連れの入居はない。

「君は迷子かな?」

浜田はしゃがんで、女の子と同じ目線になって言った。けれど、女の子はニコニコと笑うだけで、何も言わない。
すると、頭の上から聞き慣れた声がした。

「この子さ、来る途中の公園に一人で居たんだけど、なんか気に入られたみたいで、着いてきちゃったんだよね。で、この子のコートのポケットの中に、メモがあってさ…」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ