過去の拍手お礼小説
□拍手お礼小説15
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「田島、放課後生徒指導室に来なさい」
志賀はこの言葉を残したまま1年9組の教室を去っていった。
教室は終わったばかりの数学の授業の片付けや教室移動で騒がしかった。
化学室に移動するため、教科書と白衣を持っていた田島は、「なんで?」と言わんばかりに頭にクエスチョンマークを付けたまま泉と浜田の顔を交互に見比べた。
「なんで俺が生徒指導室に行かなきゃいけないんだよ!!」
泉と浜田は呆れたような表情で声をそろえて言った。
「当たり前だろ!!」
泉たちの大きな声に田島はびっくりしてしまった。
「授業中は寝てるし、課題は出さないし、テストはほとんど赤点だし、今まで怒られなかったことの方が不思議だよ!!」
泉の言葉が胸に突き刺さる。
確かに言ってることはもっともだった。
「でも、朝練ある日は眠く寝ちゃうんだも!!家に帰ったらメシ食ってそのまま寝ちゃうし…」
「分かるけどそれは田島だけじゃないだろ。俺たちだって同じだよ」
泉が言ったことは正しすぎて、田島は何も言い返せなかった。
学生がやらなきゃいけないことは部活だけじゃないことは分かっている。
でも方程式や因数分解など並べられるとそれだけで眠くなってしまうのだ。
めんどくさい…。
田島はそのことを頭のすみに追いやって、化学室へと向かって廊下を走った。
「田島、どこいくのかな」
放課後、志賀との約束をすっかり忘れていた田島は何も考えずに部室に行こうと、ユニホームの入った大きなカバンを肩から下げて何も知らない三橋と共に廊下を歩いていた。
しかしあっさり行動を読まれていた田島はボーゼンとする三橋を残して、ズルズルと志賀に引っ張られて生徒指導室に連れてこられてしまった。