過去の拍手お礼小説
□拍手お礼小説10
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浜田と一緒にいると、調子が狂う。あいつのペースに乗せられて自分が自分じゃなくなるような気がして、わざと横柄な態度をとったり、憎まれ口叩いたりしてしまう。
可愛くないことはわかってる。こんなんじゃいつか浜田に嫌われることも頭では理解できても、浜田を目の前にするとどうしても素直になれない。
だけど、そんな俺を前にしても、浜田は怒るどころか、「好きだよ」とか「愛してる」とか平気で言ってくる。
俺なんかのどこがよくて付き合ってんだろう?俺なんてとくに秀でてすごいとこなんてないし。平凡だし…。
それなのに浜田は俺のことを、壊れ物でもさわるかのように扱う。
大事に、大切にされていることは分かる。
でも俺に、それだけの価値があるのだろうか…。
「部活が終わった後、俺んち来てね」
クリスマスイヴの朝に浜田に言われた。
やっぱり照れ臭くて、余計なことも言っちゃったけど、他の女の子じゃなくて俺を選んでくれたことが嬉しかった。
部活が終わって、真っ先に浜田の家に向かった。
心臓がドキドキして、途中、自分がどこの道を歩いているのか分からなくなった。
浜田の家について、玄関のチャイムを鳴らした。
ピンポーンというチャイムの音が、長くて暗い廊下に響いた。
あれ…?
おかしいな?
何度チャイムを鳴らしても浜田は現れない。
どうしたんだろう?
寝てたりしたらぶっ殺してやる!!
俺は怒りをどうにか押さえて、玄関のドアノブを回した。
すると、鍵は掛かっていなかったらしく、ドアはスムーズに開いた。
「浜田〜!!」
そのままおそるおそる入って、玄関から大声で読んでみたが、返事はない。
しょうがないので黙って入ることにした。
「おじゃまします」
俺はそのまま突き当たりの部屋の扉を開けた。
でも浜田はいない。
なんなんだよ!!
自分から誘っておいたくせに!!
浜田なんかもう知らない!!
俺は、勝手に人の家の冷蔵庫を開けて、入っていたコーラをコップに注ぐと、テレビの前を陣取って、勝手に見始めた。
でも…全然面白くない。
いつもなら思わず笑っちゃうような内容でも、今日は笑えないよ。