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□菅原HappyBirthday
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明日、6月13日は彼氏である菅原孝支君の誕生日であります。
普通に菅ちゃん誕生日おめでとう!はいこれプレゼントー!と言ってプレゼントを渡すだけって面白みがないよね!
と、いう事で私はある作戦を決行することにしました。




翌日、午後7時過ぎ。
烏野高校、体育館。


キュキュッ、バシッ!


シューズが床に擦れる音が聞こえる中、私は体育器具庫の中にいました。
ほんの少しだけ開けてある扉から漏れる僅かな光の中、それはもうこっそりと待ち伏せをしてました。
プレゼント(と待ってる時のお菓子と飲み物)を持って、ホームルームが終わってすぐさま隠れ、掃除する時に飛び出して菅ちゃんを驚かせようという魂胆なのです。

「しかし随分遅くまで部活やってるんだなぁ…」

扉から少し離れた場所にあるマットの上でゴロゴロしながら菅ちゃんを待ちます。
というか既に3時間くらい経ってます。お菓子が尽きました。

「いやでも、バレーやってる菅ちゃんてやっぱり格好いいなぁー」

ほんの少しの隙間から菅ちゃんを見ていると、目の前がいきなり真っ暗になりました。
誰かが扉の前に立ったのです!そしてその人物は、何の躊躇いも遠慮も無くガラリと扉を開けて中に入ってきました!
これが菅ちゃんだったらピンチ!今世紀最大のピンチ!

「悠」

「ぅえっ、何だキヨちゃんか…!」

中に入ってきたのは、男子バレー部の眼鏡美女マネージャー、潔子ちゃんでした。
ついでにいうと、同じクラスだったりします。

「もうすぐ部活終わるから声掛けに来たの」

「そうなの?ありがと、流石に3時間は暇…」

「しっかりやるのよ」

「うん!頑張る!」

キヨちゃんが扉を閉めて何も無かった様に立ち去りました。
あれちょっと待ってキヨちゃん、扉完全に閉まってる!真っ暗闇!

「何という事だ…」

仕方ないから携帯を開いて明かりの代わりにしよう!

「…ん?」

そういえば菅ちゃんからメール来てないような。
今日は驚かせようと思って一日菅ちゃんの前に姿を現してないというのに、奴は心配すらしてないという事か!
私よりバレーを取るのね…いやバレーやってる時が一番格好良いけど。
でもどちらかというと私を取って欲しかったというかなんというか。

「なんか複雑な心境ー」

モヤモヤしながら携帯と睨めっこしていた時。
キュ、とシューズが扉の前で鳴った。

「!」

慌てて音を立てない様に物陰に隠れる!
隠れた途端に中に入ってきたのは一年生の影山君。
えっと、あれだ、王様。何で王様なのかは知らないけども。

「…」

影山君は私に気付かず、モップを手に取り足早に出てゆきました。
扉全開じゃん、見える見える。
もうネットたたんで、ポール外してるのねー。あの黒髪が王様で、あれが田中君、で、銀色に近いのが…が?
……あれ、菅ちゃんいなくない?

「あれ?」

きょろりと体育館の中を見渡すが、菅ちゃんらしき人はいない。
え?と思っていると、体育館の奥に立っているキヨちゃんと眼が合い、無言で体育館の出口を指差しました。
と、同時に体育館に響き渡る聞きなれた声。

『大地!悪いけど先に行くよ!』
『あぁ、お疲れ』
『お疲れっしたー!』

ああぁあ帰っちゃうじゃん!3時間待ってたのに水の泡か!
いつもモップ掛けてから帰るのにー!なんでだ!計画が狂った!

慌ててプレゼントと鞄を持って立ち上がり、キヨちゃんに手を振ってから庫内の奥にあるもう一つの扉に向かって走った。

ガシャン!

「え?」

「菅ちゃん!」

扉は体育館出口のすぐ横にあり、押し開けて飛び出すと、菅ちゃんと鉢合わせた。
菅ちゃんは飛び出してきた私を見て驚いた顔をしている。いや普通吃驚するけど。

「悠ちゃん!?」

「なんで!驚かせようと思ってたのに!なんで今日に限って直ぐ帰っちゃうのさー!」

「え?え?」

出口で固まっている菅ちゃんに駆け寄る。

「待ってたのに!」

「いや、今日悠ちゃん見なくて心配だったから、早く連絡しようと思って…」

「じゃあ何で心配のメールくらい送らなかったのよー」

じとりと眼を見ると、ふい、と反らされた。
そらされた!と思っていると頭上から苦笑いしつつ謝罪の言葉が降って来た。

「えっと…ごめん今日携帯忘れてて…」

「はい?もっかい言って?」

「携帯忘れたんだって」

「なっ、なんという誤算…!」

「誤算というか忘れた俺が悪いんだけどねー」

そうだよねー携帯忘れてたらメール打てないものねー
逆に携帯持ってないのにメール来てても怖いしね!じゃ、まあいっか!

「とりあえず、菅ちゃん誕生日おめでとう!」

「わ、覚えててくれたの?ありがとう」

うわあああ笑顔が素敵すぎる!なにその笑顔!
ふんわり笑う菅ちゃんにノックアウトされそうになりつつもぐっと耐える。
頑張れ自分もうちょい意識を保つんだ!

「これ、大した事ないんだけどもプレゼントをですね…」

そう言って背中に隠してたプレゼントを差し出すと、菅ちゃんの笑顔が三割り増しで輝いた。
それはもう表現するならパアァッ!みたいな!

「ほんと!?嬉しいありがとう!」

「いいえー」

「じゃ、一緒に帰ろっか」

「うん!」

作戦は失敗したような成功したような、よくわからない結果になったけど!
ちゃんと菅ちゃんにおめでとうって言えたし、プレゼント渡せたし!オールオッケー!

ぐ!
と拳を握ると、菅ちゃんが手を差し出してきた。

「ん?」

「手、繋いで帰ろ?」

「うんー!」

手も繋げたからよし!3時間粘って良かった!
そう思いながら、手を繋いだ私と菅ちゃんは帰り道をゆっくりと歩き出した。



菅原くん、誕生日おめでとう!

(…やっと行ったか)
(悠さん今日も輝いてるっス…!)




.
atogaki!

ここまで読んでいただいて本当にありがとうございました!
菅ちゃんHappy Birthday!!
ハイキューにヤバイ程はまりつつあります。
菅ちゃんと月島くんがヤバイ。

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