貰い物たち
□今夜は眠れそうもない
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天宮さまへ捧ぐ!
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「…………」
『…もしもし、俺だけど』
「『俺』じゃあ判らねぇよ」
『貴方の臨也です』
「……死ね」
午前3時。
電話をするには大分常識外れな時間に、携帯のディスプレイが光った。表示された名前を確認せずに通話ボタンを押すと案の定―――臨也だった。
『シズちゃん起きてたんだ?』
「お前もな。…今から寝るところだったんだよ」
何の用だ、そう問う。
くだらない事だったら、通話をぶった切ってやると力を込めた携帯がミシリと音を立てた。
電話越しの相手は空気を震わせて静かに笑う。
『なんでもないけど…声が聞きたくなった、って言ったら怒る?』
「…冗談は止めろ」
『うん、止めとくよ。気持ち悪いしね』
「自分が変態だってことにやっと気付いたんだな」
『嫌だなぁ。シズちゃんほど変じゃないよ』
軽口を繰り返しつつ、切られない電話。決して話は弾まないけれど嫌いじゃない。
気付かないうちに表情を緩め、静雄は瞳を伏せた。
「…………俺は、明日仕事だから切るぞ」
『そんな淋しそうな声出さなくてもいいのに』
「誰が淋しいって言ったっ!」
予想外に大きい声が出て、慌てて口を閉じる。臨也が悪い。あんなことを言うから。
言い当てられてドキリとした心臓はまだ治まってくれずに、静雄は頬を染めていた。
涼やかな笑い声が聞こえる。
『叫んじゃダメでしょ。シズちゃんご近所迷惑ー』
「煩い。お前こそ俺の迷惑を考えろ」
『どうしよっかな』
耳を掠める声が擽ったくて電話を少し離した。
今ここに居ない臨也を睨み付けるかのように、電話に視線を移す。
頬は紅いまま。
「いいから切れ」
『シズちゃんが切ってよ』
「……やだ。お前が切れ」
再び電話を耳に当てた。
臨也の声がまた近くなる。まるで耳元で囁かれてるみたいだ、と思った。
『…俺だってヤだよ。勿体ないもん』
――――折角シズちゃんと繋がってるのに。
ぞくり、と背中から腰にかけて悪寒というには甘い感覚が静雄を襲う。無駄に甘さを孕んだそれは、静雄を徐々に侵食していった。
何か気のきいた言葉を返そうにも音が出てこなかった。
「………………」
『あ。シズちゃん今エロいこと考えてたでしょ』
「煩い黙れ死ね臨也」
『照れ隠し?可愛いー』
「それ以上喋ると口を縫い付けに行くぞ」
『ダメだよ夜に外に出ちゃあ。シズちゃん襲われちゃうよ』
「…もういいから本当黙れ…」
疲れきって、多少怒気を含んだ声音で言ってもこの男には通じないどころか、愛してるよ等と言って口説いてくる。
静雄はらしくもなく嘆息しつつも、纏う雰囲気は柔らかだった。
今夜は眠れそうもない
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Thanks for reading !! & 200HIT
……甘めというか、バカップル風味ですね、すいません(´`)
リクエスト ありがとうございました!^^
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狂龍≒γの相模様からキリ番200のキリリクです!
読ませていただいた時、夜中に一人できゃいきゃい言ってました←ぇ
素晴らしい文をありがとうございました!!