見参!

□子供の事情。壱
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「わー雨降ってきた〜」


手を天に挙げ、オレンジの髪が見えた。
瞬間、幸村は慶次からベリッと離れ、ベランダを駆け出した。

「さすけー!」
「ありゃ?そんなとこで待ってたの〜?」

佐助に飛びついて、ひしっとしがみ付いた。
どうしちゃったのと苦笑しながらも、佐助は優しく髪を撫でる。
安心したのか、がちがちだった幸村の背中が少しだけ落ち着いた。

「佐助、御苦労さーん」
「慶次先生〜どうも。遅くなっちまってごめんね〜。あ、こんばんは」

幸村を抱っこした佐助は、見覚えのない父兄に頭を下げた。
立ち上がった小十郎は手を差し出して、会釈をする。

「片倉です。」
「どーもご丁寧に、真田です。すみませんが…」

幸村を示すと、申し訳ないと慌てて手を引っ込めた。

「こんばんは政宗君?」
「ハァーイ!」
「いつも幸村と遊んでくれて悪いねぇ〜」

エヘッと笑った政宗は、嬉しそうに小十郎を見上げた。
釣られて小十郎も微笑んだが、すぐに佐助に向かって頭を下げた。

「申し訳ない。坊を恐がらせてしまった」
「え?あぁ、大丈夫ですよ!片倉さんのせいじゃないと思うんで。」

顔を押し当てて離れようとしない幸村を撫でて、佐助は申し訳なさそうに苦笑した。






そっか、だから臍曲げてんのか。

全く…困ったもんだねぇ…









「靴どうする?持ってくか?」
「うん。あと慶次先生、傘貸してくんない?」

降ってきたか〜と、ベランダに出た慶次を止めたのは小十郎だった。

「もし宜しければ、車なのでお送りするが。」
「えぇ!?そんなっ」

鏑を振る佐助を、政宗は後ろから押した。

「いいじゃねぇかよ!乗ってけ幸村ズFather!」
「政宗様もそう言っておるし。」
「じゃあ…お言葉に甘えて…」

ニッコリ笑って、小十郎は佐助を促す。

「Good Bey!慶次先生!」
「ちょっと旦那も〜先生にご挨拶はっ」
「…さょっなら…ござ、る…」
「気をつけてなー!幸村明日は元気で来いよ〜!」
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