見参!

□二人の事情。14200リク
4ページ/10ページ







「どーも。俺様佐助ね、宜しく竜の旦那っ」

まるで語尾にハートマークでも付きそうな声音だった。
眠そうな政宗の目が訝しげに細くなる。

「Hey小十郎、どういうことだ?」
「帰る所がないと」
「あ、加えて、片倉さんのペットですっ猫ね。」
「…the Cat…?」
「申し訳ありません…猫だそうです」
「どう考えても俺よりtallじゃねぇかよ!talkingもすんのかっつーの!しかもTake outしろとも言ってねぇ!」

一気にまくし立てた政宗は、へらっと笑った佐助につられて、口の端を上げた。
ついでに溜息を吐いた。

「ヤキが回ったか小十郎…」
「違います。」
「まぁ最後まで面倒見ろつったのは俺だしな、いいぜ!好きにしろよ」

興味を示し終わり、政宗はひとつ欠伸をした。
涙目を擦りながらもう一度欠伸をする。

「明日は朝から会議ですので、もうお休みください」
「あぁ。7時には起こせよ」
「御意」
「お休み〜」
「Good night〜佐助」

閉じた政宗の自室のドアを見つめながら、佐助は小十郎の裾を引っ張った。

「なんだ」
「………イイヒト…」

キラキラとした目で見上げた。
小十郎は溜息を吐くしかなかった。

「俺はまだ仕事がある。風呂入ってこい」
「え、俺様ペットだし。風呂なんて入んないよ?」
「ならこっち来い。」

小十郎の後に付いて、佐助は周りを見回した。
綺麗にされた事務所は、まるで大手の会社にようだと思った。
そこにいる人たちが、少しだけ恐そうなだけで。

「えへっ」

笑った佐助を不思議な視線で追いながら、若い衆たちは目を瞬かせた。

「佐助」
「ほーい」
「俺の部屋だ。好きに使え。」
「わー!広っ」

物があまり置かれていないせいか、閑静としている。
グレーに統一された家具類が、さらに落ち着いた雰囲気を醸し出していた。

「じゃ、こっちのソファ占領!」

ふかふかのソファで遊ぶ佐助を横目に、小十郎はウォークインクローゼットに入っていく。
奥から掛け布団を取り出して、それをソファへと投げた。

「ぉうっふ」
「それ使え。」
「んーきもちい〜」

布団とじゃれ合う様は、まさしく猫だった。
そんな佐助に苦笑しながら、小十郎は部屋を出て風呂へと向かった。


+
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ