見参!

□二人の事情。14200リク
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結局、行きつけの居酒屋に連れていった。
ビールを一杯ずつ頼み、その間佐助は、運ばれてくる料理を片っ端から美味い美味いと平らげた。

「お前、本当に金がないだけか?」
「ん、そーだけどっんまぁーい!何これ!」
「…はぁ」

もくもく…いや、もぐもぐと食べ続ける佐助に向かって、小十郎は溜息を吐いた。
自分の勘がハズレたことと、佐助の無防備さに。


「いいか?普通あんな誘い方をしたら、好きなように弄ばれるのがオチだ。
やられまくってはした金貰うなんて馬鹿すぎる。
ここら辺はそーゆー奴らもゴロゴロいる。
金がねぇならそれなりに考えろ。
危ねぇ真似すんじゃねぇぞ。
分かったか?」


「………」

ぽかーんとスプーンをくわえたまま、佐助は小十郎を見た。

「なんだ」
「…いや、俺様なんか説教するなんて…面白いね!しかも慣れてる感じ〜」





しまった





いつものが出てしまったと、小十郎は頭を抱えた。
危ない真似をしてばかりの政宗に、いつもこうしてグダグダ言ってしまう。
初めて会ったのに、どうしてここまで言ってしまったのだろうか。

「うんめぇ〜!」

小十郎がそうしている間にも、佐助は料理を食べ続けた。

「ねぇ、食わねぇの?」
「テメェの食いっぷり見てたら腹一杯だぜ…」
「……片倉さんもさ、ソーユー奴ら?」
「何がだ」
「俺様を抱くだけ抱いてポイ捨てしようと考えてた?」
「そう思うんならそうじゃねぇのか」

小十郎は半キレの状態で、溜め息混じりに答えた。
なわけないじゃん!と吐き捨てて、見透かしたように佐助は笑った。


「片倉さんって優しそうだし。ん、鳴ってるよ〜」


佐助がスプーンで指したのは、サイレントにしていた携帯だった。
小さな点滅だけで気付いた佐助に、少し驚いた。
自分でも気付かなかったのに。

「もしもし」
『What are you doing?』
「政宗様、申し訳ありません。」
『ん?飲み屋か?』
「はい、でかい猫を拾いまして…」
『I see…小十郎も元親と同じ性分か〜』
「政宗様!お戯れをっ」
『元の場所に戻して来なさい!とは言わねぇが、最後まで面倒見ろよ〜Good ruck!』

勝手に切れた携帯をポケットに突っ込んで、ひとつ溜息を吐いた。



優しそうだなんて初めて言われた

恐がられないのも初めてだった

こいつは何なんだ一体

政宗様に何と説明すればいいのか



一気に考える事が増えて、小十郎は眉間を押さえた。
佐助はまだ、美味そうに食事を続けている。


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