見参!
□大人の事情。弐
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「佐助ぇ!保育園から電話入ってんぞー!」
「え、マジで!?」
事務所で雑務をしていた同僚の元親が、工場の機械音を押し退けるように叫んだ。
急いで事務所へ行き、受話器を受け取った。
慶次の声の向こうから、子供たちの声が聞こえてくる。
「もしもーし。うんうん、あぁそうなの?リョーカイ、待ってね。チカ〜メモ帳取って〜」
「ほらよっ」と投げられた紙に、言われた住所を殴り書いた。
元親はパソコンに向かっていたが、少しだけ気になっていた。
同じアパートに住む同僚として、小さい幸村は自分にとっても子供のような存在だったからだ。
「どーしたよ?何かあったのか?」
電話を切った佐助に問い掛ける。
「んー、なんかお友達の家に行ってるって。」
「はぁ?それ信用できんのかよ?」
「それはダイジョーブ。俺もこの前会った人だし」
それでも複雑な表情は消えず、佐助は頭を掻いた。
頭の上にハテナマークを乗せた元親は、首を傾げてパソコン画面に戻った。
「旦那のお友達の親代わりの人、顔に傷があったんだよねぇ…」
「マジで!?幸村平気なんかよ?」
「だから解んないんだよ…チカの時だって大泣きしたのにさー」
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