〜尊いし眸〜

□十六章
5ページ/6ページ




「そう言えば……佐助…起きてから、かすがさんの姿が見えないけど…」

「嗚呼、アイツなら一度越後に戻ったよ…何だか知らせの忍が来て、何かあったんじゃないかな。慌てて戻ったけど、聖ちゃんの事を凄く心配しながら飛んでいっちゃったね……ありゃ、何処かでヘタしてなけりゃいいけど…」

「あのおっかないくノ一の事なら心配する必要は無いと思うなぁ…」

「?…どうして」


下から成実さんの声…何故下からと言うと、今、僕は彼に
背負ってもらってるから…
理由はまだ歩いちゃ駄目…と

佐助も背負ってくれると言ってくれたが皆から駄目と言われ
部屋に戻るまで、今に至る


「『守るものが増えた』
それだけで人は
強くなりますからね…」

「……それは」
「聖」

『!!』


綱元さんの言葉に何故と問おうとした時…聞き慣れた、安心できる声が僕の名を呼んだ


「…政宗様…!」
「……起きて大丈夫なのか?」

「はい…大丈夫です」

「…peace of mind(安心した」


政宗様らしい笑みを浮かべる姿に僕も思わず笑んだ


「聖殿、ご無事で何よりでござった…」

「!……幸村さん…心配かけてごめんなさい…」

「なんの、友として聖殿を心配するのは当然…何事もなくて良うござったが…あれだけの怪我、無理して動かぬほうが良いのでは…?」

「ううん、大丈夫」


背負ってくれた成実さんの背から降り二人に駆け寄った

政宗様の隣に並ぶ
幸村さんになるべく心配をかけないよう、笑みを浮かべ
彼も笑って返してくれたが

心配かけないように
笑えただろうか…


「聖…ちゃんと、腹の怪我は…塞がってん…だよな…?」

「?…はい」
「!……まさか、本当にあの巨大な鳥…鋪乃殿が聖殿を…!?」

「Ah?」
「…幸村…さん…?」


幸村さんはとても驚いていた
…彼も蒼空とは会ったことはある筈だと思うけれど

何をそんなに
驚いているんだろうか…


「……ぁ、嗚呼…すまぬ…某の私情故、気にしないで下され」

「…、……」
「?…」


少し様子がおかしい
…どうしたんだろう
何だか…まだ確信を持てていないから言えないと…そう言いた気に幸村さんは目を伏せている


「Shitッ……こんな時は……間違いであってほしいもんだがな
……真田幸村、気が変わった
one round…okay?」

渡り廊下の目前で政宗様は六爪の一本を抜き幸村さんに向けた


「お、おう!今日の政宗殿は
熱く滾っておられるか!ならば某も全力でお答え致そう!!」

「okay 上等だ!」


それを理解した幸村さんも目の色が変わり南蛮用語を理解出来ない彼でもその行動事態で分かり再び闘志を燃やしていた


(……なんかさ、ちょーっと
梵の目の色が変わったよね?)

(政宗様は口で語るよりは刃で語る御方ですからね……成実…我らは少し席を外しましょう…)
「え?綱元…って、襟首引っ張んないで!ちょっ、服が
摩擦にやられるぅぅ!」


そんな様子を見ていた綱元さんは成実さんを引き摺るようにして僕に一声掛けてから城の奥へと行ってしまった

彼らまで一体…


「…ぁ……小太郎も居ない…」

「嗚呼、風魔は見回りだって……そんじゃまー…俺様達は旦那達の見学でもしましょうかね〜。別に構わないよね?」

「a matter of course<当然の事>構わねぇよ。聖、俺のrival対決をしっかりその目に焼き付けな」

「はい!」

「ぬぉおお!聖殿の前で
無様な姿は見せられぬ!」


……気にしない方がいいのか
彼らの戦いを見てたら多分忘れられるから気にしない方が

…いいよ、ね…






* * *

「DEATH FANG!!」
「火炎車!!」


目の前に広がるのは
蒼と紅の閃光

政宗様と幸村さんの鍛錬だ…
婆娑羅者だからだろうが端から見たら飛翔力も半端ない


「…凄い……」

「相変わらず、派手にやってくれてんね〜」

「……、政宗様………」
「?…小十郎さん…」

「!…嗚呼、すまない、何でもないから気にするな」
―ガキンッッ!!キンッ、ガキンッ!


小十郎さんは何だか心配そうに見据えていた政宗様と幸村さんの鍛錬…繰り広げられる光景は
鍛錬というレベルを越してるが
以前の見た戦いよりは
安心して見ていられるが…

何だか少し奇妙…
鍔迫り合いの間が長いというか

鍛錬でも戦いでも
そんな事は
当たり前なのだろうけど

たまに驚く表情とかは不思議だ










* * *

政宗、幸村視点

―ガキンッ、ギギギギッ
「真田幸村…やっぱり、アンタんとこにも来たんじゃねぇか?"Big bird"がわざわざ知らせによ」

「!?、政宗殿…
では…やはり、蒼空殿は…っ」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ