〜尊いし眸〜

□十弐章
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――ザッ…
「……小十郎!俺は少し頭を冷やしてくる……序でに真田の忍……
小十郎と一緒に聖を頼むぞ……頼みたくもねぇがな…」

「……聖ちゃんの為だ…最初から俺様は傍に居るつもりだ」
「……政宗様、供は」

「Ah?……成実で良い…"非道"な野郎はそう簡単に
くたばったりはしねぇからな…お前も来なくていい」
「っ……、承知」

「!……ま……」
「…聖ちゃん、駄目」


 政宗様は一声荒上げた後…成実さんを呼び出した
ハッと我に帰り呼び止めようにも佐助さんに止められて
後に段月の兜を深く被り直した後に伊達陣営を出て行った




「―――…どう…して…だ…ろう……な……」
「!聖…」

「聖ちゃん、あんな人の言う事なんて気にする必要も耳も貸す必要もない!
あ〜!もういっその事ウチに来ない?聖ちゃんなら大歓迎だから!」

「?! 猿飛、何勝手に決めてんだ!聖は伊達の人間…勝手に…」
「………じゃあ聞くけどさ…右目の旦那……独眼竜は聖ちゃんに何て言ったんだ?」

「っ……」


 政宗様が居なくなった後、また一層にこの場は険悪に包まれる
小十郎さんの焦燥と佐助さんの軽蔑と失望
似通って、何処にもぶつけようが無い感情が彷徨う。


「……まさか、あの奥州の独眼竜から『生殺与奪』なんて
言葉が聞けるなんて思いもしなかった、まぁ
…こんな世の中だから俺様も否定はしないが
……竜の旦那らしいって言えば、らしいかな…」

――ジャキッッ!!
「猿飛佐助…っ……今すぐその言葉、撤回しろ!
政宗様は人の命を弄ぶような御人では無いッ!」

「……竜の旦那が居ない今、転で説得力なんて
残念だけど全然無いよ…右目の旦那……」


 突然、小十郎さんは全体的に青い静電気を帯びたように
刀を抜いた、あれはもしかして怒りが頂点に達した時に入る
小十郎さんの極殺状態…佐助さんも、目が笑ってない…怒っている。



――――……何故?…どうして?


 何の為に貴方たちはその怒りをぶつけようとする…。



「……駄目っ!!…小十郎さん!佐助さん!武器を納めて…っ!」
「「聖/ちゃん……?」」


 まず、一番危なさそうな小十郎さんを止めに入った
何時も以上の眉間の皺の入りようには止めた方が良い…。

 佐助さんも幾ら、腕が有る忍でも極殺状態の
小十郎さん相手では、今の精神的にも厳しいと思う……。






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