薄桜鬼〜孤独な彼岸花〜
□七,壱
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選んだ選択肢は一の居る蛤御門にした
実はと言うと、まだ少し一が心配だったのと
御門近辺を駆け回る救護隊が心配だったのもあったから。
「……まずは新選組の者として会津の責任者に挨拶をすべきか
縁が会津副藩主として…救護隊としても怪我をした
会津藩をも手当てしてる分、顔合わせは必要だろう」
「ええ、そうですね」
確かに、一の言う事が正論だろう…新選組は
会津予備兵と共に一応は待機を命じられていた身
勝手な行動に会津藩と新選組が揉めても洒落にならない。
「よろしければ自分が動きます。……今は上層部も
混乱していますから会津藩士の手当てに回っている
救護隊も居る分、我々の行動を見咎める事もないでしょうが」
烝は言葉に合わせて俺に視線を向けた
…新選組 救護隊は会津藩士をも助けているのだから
いくら会津側が揉めていようと
感謝こそされど文句を言われる筋合いはない
…一も即断した。
「会津藩の対応は山崎君に一任しよう。問題が生じたなら俺か縁を呼んでくれ」
「お願いしますね、烝」
一と俺の言葉に烝は黙礼した指示を果たすべく駆け出した。
「えっと……あれ……？」
「…烝なら上手くやってくれるでしょうが、此方は何だか
厄介そうですね、早速、問題が出てますよ」
「……そのようだな」
千鶴ちゃんの呟きに俺は辺りを見渡した…原因は
会津藩らしき者達と薩摩藩らしき者達の小競り合いだった。
「でも、何が原因なんでしょう？」
「恐らくは手柄の取り合いだろう……愚かなことだ」
「……なるほど｣
「…嗚呼いう人間の姿…見れたものじゃありませんね…」
千鶴ちゃんの疑問に答えた一達の様子を
見つめながら俺は呆れを呟き、ふとして
渦中に居た薩摩藩士がこちらに気づいた
「何かと思えば新選組ではないか、こんな者共まで召集していたとは……やはり会津藩はふぬけばかりだな！浪人の手を借りねば、戦う事も出来んのか」
「なっ……！？｣
薩摩藩の無遠慮な言葉に一が率いて来た
隊士の表情は当然…千鶴ちゃんまでもが強張った。
「世迷言に耳を貸すな。只己の勤めを果たせ」
「そうですね、己の果たすべき事だけを考えましょうか
此処には多くの負傷者や死人が敵味方
関係なく、とても沢山居ますからねえ…」
苛立ちを見せる隊士達に俺はあくまで冷静に
静かに視線を投げかけ一も状況確認の任務に
撤するよう呼びかけるが…。
「おのれ、愚弄するつもりか！｣
流石に自分の藩を貶されるのは
黙ってはいられないか…会津藩士は声を荒げ刀を抜いた。
。