〜尊いし眸〜
□十章
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「…何もされてませんよ?寧ろ、何かと
気に掛けてくれたりしました…お館様や幸村さんには
謝罪の言葉を頂きましたし…武田の苦労人で
オカンさんにも身の回りのお世話にもなりましたから…」
「「「武田の…オカン?」」」
「……、真田の忍か?」
「はいっ」
(((…オトンか…)))
まだ名前も出していないのにオトンである小十郎さんには
どうやらオカンが誰だか分かったようで、僕以外の人達が
改めて小十郎さんの事をオトンだと認識したのはまた別のお話。
「まぁ…あんな暑苦しい連中が手早いとも
思えねぇからな、大丈夫だったならそれで良いが」
「…手早い?…」
「政宗様、あまり聖を困らせる発言は控えたほうが宜しいですよ?それが現実になったら、私…自身の今後の行動には責任が持てませぬよ?」
「Ha!別に構わねえよ、俺に迷惑かけねぇ程度なら、幾らでも暴れて良いんだぜ?」
「ふふ…政宗様がそう仰って下さるなら、心置きなく…」
綱元さんの何処か黒い笑みに同調する政宗様…しかし、ふとして
今まで抱きつかれていた綱元さんから、政宗様の元へ引っ張られ
「…政宗様…?」
「随分と顔色も良くなって、澄ました顔になったんじゃねぇか?
そろそろ聖から離れてもchargeは十分だろうよ?」
「おや、残念だ…もう少しばかりは可愛い弟を堪能したかったのですが……」
改めて見たら清々しいそうに顔がすごく輝いてるけど
何だか本当に残念そうにもしている綱元さん
見ていたら彼にも、セクハラ疑惑が僕の中で浮上した
いや…別に嫌な訳じゃないんですが…
彼がブラコン汚名を被るのは駄目でしょうに。
―ダッダッダッ!!
「筆頭ーー!!報告…っ」
「Ah?…どうした」
「ち…近くに豊臣の御旗と思われる
小勢軍がこの近くに向かってきてますぜ!?」
「!…マジかよ……。梵…俺達だけならまだしも、聖を豊臣側に見せんのは不味くない?」
「そうですね…先ず回避は不可……余り宜しくはないでしょう…。
只でさえ噂が広まってる今、武田の忍にさえ聖は伊達の
異色の存在と見られているならば『小鳥の君』と悟られる…」
急に陣営が騒がしくなった…それに成実さん、綱元さん
政宗様、小十郎さんは厳しい顔付きに打って変わった
「Shit…まったく、連中は have a good nose<鼻が利く>
……小十郎…やることは分かってんな…」
「はっ…」
「!…」
。