〜尊いし眸〜

□十章
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 眉間の皺に又皺が…疑問符も浮かべていたが
深くは追求するつもりはないらしい、小十郎さんに内心助かった

 彼に質問されると逆に尋問でも受けている気分になるし
だけど僕の頭を撫でていた成実さんは唐突に目をカッと開いて肩を掴む。


「いやいや!?つか体調以上に!聖!甲斐に居て何か
変な事されなかった?!大丈夫だった!?あんな暑苦しいとこォォオオ!!」

「?!…し…成実さ…っ」
「っ!!…病み上がりの聖が知らねぇ忍に目の前で拐かされたところ
見た時はもう…どうにかなりそうだったっ…なのに聖は
まだ体調が万全じゃないし不可抵抗力だっての…
分かってた筈なのにっ……城だからって
安心してた自分が情けなくてっ…目の前も、真っ暗で……」

「…ぁ……」


 ごめんなさい、僕の目の前も真っ暗です
―――状況は理解してます…これは抱き締められてた。

 なんだか迷子になった弟(妹)を必死になって
探してたんだぞ!のような必死な声をした兄様がいらっしゃいます

 さ、流石は、政宗様の従兄弟。


「……成実さん、ありがとうございます…。すみません…」

「謝らなくていいよ!聖が無事だったから!」


――――……本当にごめんなさい、そういう…
訳ではなく僕の第一印象を+言動チャライ
何だかチャラ男だと思った僕を許して下さい

 貴方は素敵なお兄様でした。


「成実…"可愛い弟"を独り占めとは関心しね
……しませんな…私もとても心配したよ、聖」
「…鬼庭…さ、ん?」


 耳は悪くはないので彼が言った事を聞き間違えた訳では無いようだ
…一応……男装は完璧だよね、そして
人の二面性を聞いて…見てしまったと思った自分

 伊達三傑が一人、また揃いました…この人、鬼庭さんだよね?

 成実さんと宗時さんとしか、まだ余り
喋った事無かったけど、紳士さから
明らかに一瞬性格変わったよね?

 何があったんですか…。


「……、何時までも他人行儀じゃなくて良いんだよ?
私の事も…げほっ…ごほっゴホっ…な、名で…」


 成実さんから鬼庭さん…じゃなかった
…綱元さん…これが、彼の通常名でしたよね

 ゲームでは"延元"と表記されてるんだけど、歴史上
豊臣側の時には『鬼が庭に居るのは縁起が悪い』
とか云々で色々あり茂庭と姓を改め云々かんぬん…

 アレ、無理矢理簡潔にしたら分からなくなってきた…止めよ。


「だ、大丈夫ですか?鬼庭さ」
「げほっげほっ!…姓でなく…私も、名でお願い…しま…っ」


 本当に何があったんですか?こんなに
咳き込む今の貴方が僕は心配なのです…

 確か病弱って聞いた事も…。


「あ、む…無理しないで…っ?あの…綱元さん…取り敢えず落ち着くまで背中撫でますからね?」
「……綱元、病乗じて独り占めしてるし…」


 なんですかそれ?いくら僕を成実さんから
引っ張り出す力がありましても心配で怖いです

 今にも喀血しそうな勢いの顔色の悪さは本物だけど…。




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