〜尊いし眸〜

□八章
2ページ/5ページ







 そう言うと蒼空は飛び立ち、また鳥の姿に戻って
夜空の彼方へ飛び去った…僕の手に、淡い暖かさを残して…。


「……、!…ぁ……傷が……手…動く……足もちゃんと…」


 何時の間にか解けていた包帯、怪我故に
腕に巻かれていた筈のそこには怪我も何もない
身体にも巻かれているようだが
この調子ならば、そこにも怪我は存在しないのだろう…。


「!!…wonder fully…この竜の眼に映す光景を
奇跡としか見せねぇたァ……Big birdには驚かされてばかりだ」


 政宗様は珍しく安心仕切ったような
優しい眼差しを僕に向けてくれた…。


「…傷が……跡形も無く綺麗に治ってやがる…か。
安心したぜ……聖…政宗様…良うございましたね」
「…Ah……」


 小十郎さんも政宗様と同じように僕の腕や傷の具合を
見て安心していて肌を触れ合わす温もり、柔らかな表情…
二人がこの表情を見せてくれたのは
これで二度目だったかな…初めては風邪の時だった。


「……良き結果で何より、これで儂らも心置きなく
改めて民に偽りを述べる必要も無し…あの巨大な鳥は人に
一切害さないと民に伝える事が出来る。すまなかったの聖、独眼竜よ」

「いえ…僕は全然…」

「…俺のlittle birdがそう言うなら仕方ねぇな…聖が無事なら何でも構わない……二度はないがな」

「フッフッ…随分な気の入れようじゃのう」

「そりゃな……コイツを拾った時から竜が…いや…双竜が最後まで飼うと決めた大切なlittle birdだ……鳥も護れないようじゃ、竜の名が廃るってもんよ…」

「ほぅ…これは面白い…竜の名を持って聖を護るとな…」


「……………」



―――…政宗様…とても嬉しいお言葉です…でも
…聞いてる僕は貴方に抱き上げられてる侭なので
至近距離な上、何故だか…おもっきし辱められるんですが。


「…は…はは、は…は破廉恥極まりないでござるっ…政宗殿っ」

「Ha…?」

「旦那〜、別にこの場面は破廉恥でもないっしょ?」
「な…何を言うか佐助っ…あれ程までの……至近距離…っ…」

「え……ぁ〜…距離はともあれ台詞から…アレは違わない?」


 ぁ……顔を真っ赤にした幸村さん
見てたらなんだか辱めが吹っ飛んだ…。


「政宗様、小十郎さん…僕は破廉恥ですか…?」
「「は?」」


 二人して驚いてる……なんか僕、色々ズレてるのでしょうか。


「聖ちゃん、こう言うのは唯、旦那が"初"ってだけだからね」
「なっ…!?」

「…初…ですか?」




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ