〜尊いし眸〜

□七章
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――ビュウゥゥゥゥッッ!!

「っ……こりゃ、スゲェ風だ!」
「お気を付け下さいませ!」


 庭に出た瞬間に嵐でも来たか…と言うくらいの風だった。


「ぼんちゃっ……じゃなかった…筆頭!
何してるんですか!そんな状態の聖まで連れて!」

「Hey 成実…例のBig birdは何処だ?」

「えぇ?!何処って…まさか、あのデケェ鳥の所に…?」

「…成実、いいから早く話さねぇか…」
「…こ…小十郎まで…」


 庭には武田軍は勿論ウチの伊達軍も
この騒ぎにオチオチと寝ていられる筈はないだろう…。


「…まっ、政宗殿!聖殿まで、連れて何をしておられるか!此処は危険でござるぞ!」

「Oh 随分な形で元気になったな?アンタこそ立っていて大丈夫なのかよ、hurtman?」

「っ…我が城が一大事の時に某だけが寝てなどいられぬ!」

「ちょっと!?まだ無理しちゃ駄目なんだよ旦那?!」

「佐助!俺は無理などしておらぬ!」


 多くの兵が、皆でして武器を構えながら
空を見上げていた…その目先に居るのは勿論…。




―――…キュゥウゥゥゥゥルル…――


 この世では見られないような綺麗な翼や尾を持つ鳥…か
こりゃ、俺も見たことねぇな…否…この場にいる皆が全員だ

 武田屋敷の上に止まり、城一つ潰せるくらいのデカさもある。

 Big bird…聖の…"友達"…この竜まで
綺麗と思わせるなんぞ…流石は聖の友達じゃねえか…。


――ザッザッ…
「!…武田のオッサン…」

「……、これはまた…聖の話しに聞いておったのよりも
随分と美しく大きな鳥よ、これは謙信以上じゃな」
「お館様!!」

「あ!大将!。大将からも旦那に何とか言ってやって下さいよ〜
もうこんな状態で動こうとするんですよ?」


 ふと屋敷から出て来たのは、この城が主の武田信玄


「お館様!?武器も持たずに外に出るのは危険でございますぞ?!」

「全く…幸村よ、そう熱くなるでないわ!
お前はあの鳥が我らに危害を加わすように見えるのか!」

「お…お館様?……それは一体どういう意味でございましょうか…?」


「なんの敵意も殺意も無き澄んだ眼
……探しておるのだろう…己の"小さき鳥"をな…
…でなければ、この様な危険な場に聖を連れ来る独眼竜でもなかろう…」

「!……Ha、よく分かってるじゃねぇか…」


 よく見てる奴だ…結局、食えねえオッサンだ…本当に。



―――バサッ、バサッ…バサッ…――
「う、うわぁ!鳥が降りてきましたぞ!」

「くそっ…この風では矢も当たりませぬ…っ」

「皆静まれぃ!!鳥に吹き飛ばされたくなくば
頭でも伏せておかんか!アレに一切攻撃するでない!」

「!…テメェらもだ!一切手出しするんじゃねぇぞ!」
「片倉様?!正気で!?」

「…て…手出し出来る状況でもないけどね…」




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