〜尊いし眸〜

□七章
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 一瞬にして消えた猿飛の居座っていた場を見据えつつも


――ドットットット!!


 直ぐに知らせの騒ぎは来る…。


「ひ…筆頭っ!大変です!一大事ですぜ!ヤバいですぜ!」

「…騒ぐなお前ら、幾らなんでも怪我人の前では…」

「この城の上に、この前、夜の上空で見たやつですよ!でっけぇ鳥が居るんです!!」

「!!?……Shit…まさか…本当に…」


 Big birdと聞いて柄にもなく不安になった
聖がこの時代の人間じゃねぇ事もBig birdと
深く関わりある人間だと言う事も承知の上だ。




―――…キュゥゥルルルル…!―――


「!……何だ…この鳴き声…!…政宗様…聖が…」
「!?……聖…」


 聞いた事もないような、酷く此方の心が
見透かされそうな程に澄んだ鳴き声が響いた
あっちも喚んでる…連れて行かねばならないか…

 だが…これを今生の別れにしようものなら…。


「………蒼空……ど…こ……」




 竜の爪で引き裂きたくなる…
その見えない何か…刹那に縋ろうとする

 My little bird…。



――スッ…タッ
「……………」


 聖…涙を流す程にそんなに会いたいか…蒼空と言うbirdに。


「筆頭!?今外に出るのは危険ですよ!危ねぇですって!」
「そうですぜ?!それに今、そんな状態の小鳥ちゃんまで…」


「……………」

「………、…政宗様……行かれるのですか……"聖"を連れて…。
それが、その手から離れるやも知れぬ小鳥を……」


 縋るなら…俺に縋れ…。


「……Ah…このまま此処がbestructionされてもbe in trouble…
聖が探して…あっちにも呼ばれてる……俺が飼うって言った以上
やれる事は責任持って、最後までやってやらねぇとな…」


 ちゃんと戻ってこい…戻ってくるんだぞ…
お前の居場所は竜の中だ、もう巣立てる時なんだ。



――スタッ…
「………全く…」

「…小十郎?」

「……、"双竜が拾い最後まで飼うと決めた"のですから
…この小十郎も…知らない振りは出来ますまい…」

「!……Ha!、分かってるじゃねぇか…」


 戻ってこなけりゃ分かるだろ

 竜は全てを喰らう、せっかく捕らえた小鳥を逃したその時。



(……今だけだ…場合によっては…強硬手段だな…)


――――…何を仕出かすか、分かったもんじゃねぇ





 何をしてても……だからな。




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