〜尊いし眸〜

□七章
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 口の減らない猿飛はこの際neglectだ。
っつーかコイツ…終始聖の事を"ちゃん"付けだが…やはり聖は……。


 いや、今はそんな事を言ってる場合じゃない。


「ッ…ぁ……はぁ…はぁ……………ぁ…」
(聖…今度は一人で頑張るな…easilyに飲ませてやるからな…)


 竹筒に入った薬を口に含んで、聖の乱れた呼吸を見計らい


(……今か…)
「ん…ァ…はっ……ふ…ン…ッ」
「…ん…っ……」


 息を吐き、また吸ったところを見て口移しをした
口付けをしている為に聖は息を吐き出す事もなく
口移しで流し込んだ薬をなんとか上手く飲み込んでくれる


「はっ…ぅん…はぁ…はぁ、……」

「……、どうやら上手く…飲んでくれましたね」
「……Ah…」

「うひゃ〜…羨まし〜」


 秘薬の名に相応しく思っていた以上に苦味を感じる薬だった
……まぁこの際一人で味わうよりはよっぽどマシなもんだ
…コイツを聖が一人で飲むなんて、考えただけで可哀相だな。

 しかし…マジに羨ましそうにしてる猿飛を見たら
どうしたもんか…聖が本当に女に見えちまった


「…てめぇは本当に口が減らねえ忍だな…」

「…だってさ〜、なんか本当に羨ましく……
あれ、片倉の旦那…?さっきから目が泳いでるよ〜…?」


 いや、そもそも聖の言動や行動、最初に拾った時の身形は
不思議な服装だったが、思えば男よりも一段と淡麗か

 俺よりも歳幼い…は合っているだろうが…本当に男なのか?


「……、猿飛…覚悟は出来てるな?」
「わわっ…ちょっと〜、聖ちゃんが寝込んでる前で騒ぐのはよく無いよ旦那っ」


 否、女とも…言えた容姿だった…まぁ
俺が拾った理由に性別は関係無い…伊達軍全員が
聖を小鳥の君と名付けてまで大切に扱い…可愛がったり
気に入っちまったりしたから聞く気にもならなかったんだ


「…はぁ、……」

「what?小十郎、溜め息なんて吐いて
どうしたんだ?今晩はやけにcoolじゃねぇな…?」
「……、申し訳ありませぬ…この小十郎
政宗様の"今後の事"が心配になりまして…」

「…は…?」


 また何時に増して小十郎らしくねぇな…どうやら
コイツもやはり聖に関して戸惑っているのには間違いねぇか。


「ま…まぁ…俺様の言う事なんて
ただの戯言なんだから気にしないでよ〜
……取り敢えず…上手く薬も飲んでくれたみたいだし
…これで少しはマシになってくれると思うよ…」




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