薄桜鬼〜孤独な彼岸花〜

□七
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「―――あ?お前らのとこの藩邸が新選組は九条河原へ行けって
言ったんだよ!その俺らを適当に扱うってのは、新選組を
呼びつけたお前らの上司を蔑ろにする行為だってわか…っぶ?!」
「ククク……新八さん…怒るのはごもっとも
…ですが、この様では話しが進まないのでね…?」


 手で新八の言葉を遮っても言いたいことは言って
まくし立て上げられた藩士は言葉に詰まっている


「ぶはっ…縁!だがよ…」

「―――…この方に話しても個人判断に済まされては困りますからね…。
まぁ…済まされても正式な書状がありながら
この方で済ませば、自分の首を絞めるもの

では、名乗り遅れました、一応は仮にも会津副藩主を前に
これを無視をするならば直接藩主にも
それ相応の対応は強要させる手筈を今から回します。

……さて…貴方では話しにならない…陣営の責任者と話を
―――…上へ取り次いで頂けますよね……?」

「あ、貴方が副藩主殿?!……は…はい…わかりましたっ!!」


 なるべく穏便に事を進めたく、脅したつもりはないが
その様に取られたようで効果有り、怯えながら
藩士は急いで陣営へと駆け走って行った


「――局長、副長、すみません……副藩主名
使ってしまった以上はお二人の手を煩わせる事になる…」

「嗚呼、構わんよ、こういうのは我々の仕事だろうしね」
「そうだな。……ま…逆にこっちは頭も冷やされたがな?」

「……、失礼しました」


 局長は当然と言いた気に笑顔だったが副長の言葉に辺りを
見渡せば隊士らは皆、苦笑い気味だが、すっきりしたような様子

 それはそうだな……新選組を思う気持ちは
皆一緒…じゃないと今、此処に彼らは居ない…。











* * *

「―――……予備かよ」
「……縁さん?どうしました?」

「!…千鶴ちゃん…」


 話は付き、まず九条河原待機は当然許された
後にも今後の動きについても…なんだかハッとせず
途中で俺は同席したものの会話には入らなかった

 と言うよりも、俺とは恐がられて話にならない。


「……どうやら此処の会津藩兵達は
主戦力じゃなく、ただの予備兵らしい」

「会津藩の主だった兵は蛤御門の方を守っているとか…」
「縁……お前一応は、ちゃんと聞いていたんだな…」


 副藩主の存在は会津藩に轟いてはいたが
真っ正面からの席がこんな場だけに
藩士達の皆様は緊迫はしていたが、更に

 会津副藩主の存在が異端だったのかな…
会話をしても会話のキャッチボールが出来なかった。


「……副長…いくら俺が会話を飛ばしてたからと言って
流しはしませんよ、他の上司に当たるお偉い様方を黙らせ
釘打つ為には正論も返さないといけませんし
…会話にはなりませんでしたが、俺自身の挨拶にはなったでしょう」
「……一番、敵に回したくない奴が近くに居やがった…」


 千鶴ちゃんと同じ、タイミングで驚いた
まさかの副長…少し遣る瀬無い感が…俺自身が。


「…あの…新選組も予備兵扱いってことですか?」

「…屯所に来た伝令の話じゃあ
一刻を争う事態だったんじゃねぇのか?」


 千鶴ちゃんの話に上乗せして不平を
漏らす新八には俺も溜め息しか零せず終い。




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