薄桜鬼〜孤独な彼岸花〜

□七
2ページ/21ページ








「……酷い…そんな…」

「……。!…千鶴ちゃん…力を抜いて下さい…」


 役人の言葉に暫く、その者を
睨んでいたらふと…小さく掠れた声

「縁…さん…」

 酷く辛そうにし唇を噛み締めてる千鶴ちゃんを見たら
痛々しい…今の俺に掛けられる言葉など無いが、せめて
自分で自分を傷つけないよう、何時ものように頭を撫でた。


「ま、お前が落ち込む事じゃないさ、俺達の扱いなんざこんなもんだ」
「う……」

「左之さんらしい……開き直れば、楽とでも言いますか?」

「そんなもんだな…気にしてたってなんも始まらねえし……それに
…気に掛けてくれてる奴が居るなら、マシな方だよ…俺達は」

「「…………」」


 上手く纏めてくれる…左之さんの言葉は
俺を…千鶴ちゃんをも気治めさせてくれた


「……、俺らが所司代に対して下手に騒げば
会津の顔をつぶしちまうかもしれないしな」
「あ……」

「ふ……お優しい事で」


 一応、新選組にとって会津藩は
壬生狼士組から"新選組"と言う名をも与えてくれた藩
…彼等も武士として恩人を仇で返したくはないのだろう。


「近藤局長、所司代では話になりません。
……奉行所を離れ会津藩と合流しましょう」


 一の進言に局長はやむを得無い、と、渋々ながらに頷いた


「うむ…それしかないな、守護職が設営している陣を探そう」


 局長の言葉により新選組は改め会津藩の陣営を探す為
ひとまず会津藩邸に向かい、奉行所への
連絡不備報告、そして新選組はどのように動くか…。







*―*―*


 日が暮れた刻限に九条河原に辿り着いた
結局の所、会津藩邸の役人の反応は
軽い謝罪にこの九条河原に向かうよう告げたのみ。


「新選組?我々、会津藩と共に待機?」
「…………」


 しかし陣営を見つけその会津藩士さえ
桑名藩と同じ反応だ…見下したような目もまた同じ。


「そんな連絡は受けておらんな
すまんが藩邸へ問い合わせてくれるか?」
「…………」


 流石にこうまで言われては、皆、苛立ちは隠せない
何よりも先に前へ出た新八は何時もよりも素直に
苛立ちを隠せない様子で堪忍袋の緒も切れたらしい





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ