〜尊いし眸〜

□泗章
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* * *

「佐助…このお方、中々起きてくれぬが大丈夫であろうか…」

「毒を盛った訳じゃないんだから大丈夫だって……まぁ
身体事態が少し弱ってたみたいだけど。…それに旦那
もう連れて来ちゃったんだから遅いっての…
…俺様、この子を連れてくのに、すっごく
罪悪感に見舞われたんだぜ?もうなんか俺様がどうしよ…」

「むぅ……やはりこの様に、この方の
ご意志とはお構い無しに無理やりとは…某…」

「っか〜!…もう仕方ないでしょうが!お館様も言っただろ
『今回、巨大な鳥の件に関して不安がる民を安心させるには真実を確かめねばなるまい、が、独眼竜の返答は否一点張り…やむを得ないか…』…ってね?」

「そ…そうだが…」


 少しばかり納得が出来ないと言いた気に終始オロオロ
首に六文銭を下げ朱の甲冑を纏う者と先程
聖を連れ去った迷彩の忍は少しばかりいざこざしていた


「……、迷彩色…朱…紅?」

「「!!?…」」


 が、こんな騒ぎでは僕の意識は当然、覚醒する
…どうやら寝かされた布団の中で視界がクリアに戻ると
いざこう二人が見え声を掛ける機会もなく、ぼんやりと
目の前に映った色を言葉にしたら案の定、二人はバッと此方を見た。


「ああ、良かった目が覚めて……君が吸った薬は意識を少し
朦朧とさせるだけのものだったんだけど……身体が弱ってたんだね?
…それで余計に効いちゃったんみたいなんだ…驚かせてごめんね」

「いえ……。あの……迷彩で……忍…ですか…?」

「え…聞くとこ、そこ?」
「……うん…」

「あらま〜…俺様、吃驚」


 迷彩の人は片膝を付いて心配そうに僕の
上半身を起こしてはくれたが返答には
面白いとばかりにニコリと笑みを向けて頭を撫でてくれて。


「……忍…?」

「これでも立派な忍さ、俺様は真田忍隊が長 猿飛佐助
で、こちらが俺様の仕えてる主の……って…あらら…旦那?」


 誇らし気に名乗る、まさかの、かの有名な噂だけの存在
と、言われた真田十勇士が一人、猿飛佐助に出会えるとは
…そして隣には何故だか汗を流しながら気まずそうに口を開く青年。


「……そ…某は…っ、真田源二郎幸村…こ、この度はお初に
御目見えかかり申すっ。……な、なれど、此度…先日
夜空を飛ぶ巨大鳥を見た民がおられ…その…巨大鳥が
奥州に落ちていったと目撃した者が多く噂では
巨大鳥を奥州の独眼竜が飼っているのではと噂を…
我が武田領地が城下の民草は日々、不安を募らせ
何か訳有りがありそうな者がもしや…成りを
潜めているのではないかと…それ故に佐助を使わせ
お主が伊達軍に似つかない者と見て……それで…そ、その…で…」

「?…お…落ち着いて下さい……早く言えば…お二方は
奥州に落ちた巨大な鳥の件に関し、話しが
聞きたくて、それで僕を此処に連れてきた…のですか?」

「!…まっ、全くもってその通りにございまするぞ!!」
(嘘ォ?!…一人称が…僕…?男?…俺様の目でも
見分けられないなんて……いやいや…でもそれは一人称癖って事でも…)




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