〜尊いし眸〜

□泗章
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――チュン チュンチュン
「…そう……今日は南からの武将の使い…
本当に政宗様達には、なんだか申し訳無いよ…」


 成実さんと宗時さんが居なくなって数十分程経った今
一応、迷惑かけるのも悪いので大人しく
宗時さんが言う通りに日向ぼっこをしていたが


――チュンチュン チュン
「…え?忍も……危ない人…うん…人それぞれ…
だからね…気を付ける…ありがとう、みんな」
――バサバサバサッ…


 僕は世間や噂話をしに声を掛けてくれた
雀達と肩に乗せて戯れてた、興味深い事
今の現状など動物と話せて本当に良かったと思う。

――ヒュウゥゥゥ……

 ふと、優しい風が頬を撫でる――本当に
…分からない事は沢山ある…だけど政宗様達を
呼んでまで煩わせたくもないから、でも

 さっき言われたこと…僕に関わることなのだろうか。


――…スタッ
「良い所に発見、野郎ばっかの伊達軍に滅茶滅茶似つかわない子
みーつけた〜…っと。巨大な鳥が落ちた…っつーか…
双竜の旦那達に…飼われてるって噂の【小鳥の君】ってのが君な訳だね」

「…ぇ?…だ…ッ?!…、……」


 突然頭上から聞こえた人の声
とても明るく、とても、隙が見えずに
且つ一瞬で背後に居た彼に口元へ布を押し当てられ
何か薬品らしき不思議な匂いがした時…早かれ頭がぼ〜っとした。


「……突然、乱暴な挨拶でごめんね…君に騒がれて
人が集まると俺様が困るからさ…ちょっと一緒に来てもらうね…」

――タッタッタ…
「聖〜、さっき言い忘れ…っ!?聖っ?!…テメェッ!どっから入り込んだ!」
「!…おっと、ヤベ〜…逆に騒がれちまった…」


 唐突に戻って来たのは先程に話をしていた成実だったが
彼の忍の腕の中で捕らわれている聖の様子を見た
その瞬間には血相を変え、その叫びに他の者も集まって来た。


「忍だ!忍が入り込んだぞー!!」
「野郎!俺らの小鳥ちゃんをどうするつもりだ!返しやがれ!」

――ダタッ…バサッッ
「小鳥ちゃんは必ずお返ししますんでお借りしま〜す。
……って何だかコレじゃあ俺様超悪役じゃん
……汚れ役に慣れても、何かこの子に嫌われたくないな〜…はぁ」

 縁側でもあった為、片手で抱えて聖を連れ去った前の誰か
…忍か…身軽に伊達屋敷から、外へと出てしまった

「……、……」

 今の僕には思考認識が侭ならず、ただ
分かったのは迷彩の模様が目の前に映るだけ。


「……ごめんね…ホント」


 それと申し訳なさそうな、声だけだった…。




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