〜尊いし眸〜

□惨章
7ページ/8ページ






 凄い…見事に僕の三つの質問に答えて下さりました
…本当にお父さんに…いや、ちょっぴり…見えてしまいました。


「……、理解出来ました…長いご説明を
ありがとうございます、こじゅ…オトンさん」
――ゴッ…
「誰がオトンさんだ、言い掛けをわざわざ換えるな」

「…い…痛い、です…」

「病み上がり者でも容赦ねぇな小十郎」
「……容赦ないですね」


 ちょっと戯れたら小十郎さんから額にチョップを貰いまして
政宗様からは、大丈夫かと額を撫でられました
でも小十郎さん、手加減ないんですよ…前後に
衝撃を受けた僕の脳細胞は生きているだろうか

 早くに呆けたくないよ…。


「お前が戯けるからだ…政宗様も何時まで、そうしてなさる気ですか」

「そう硬い事言うなって…案外落ち着けるぜ?little birdと寝てたらよ」


……まったく…と言いたかった言葉は溜め息として零れ
小十郎さんには内心でなんとなく労った
…思い違いでも心配してくれてるならば有り難みは湧くもの。


「政宗様…まだ、眠りの時間帯ではありませぬぞ…それが必要なのは
聖です……下がっても微熱がやはりが、まだ残っている…」


 やっぱり安心感を覚えた二人の優しさ、双龍の温もり
…小十郎さんもまた僕の額に手をソッと添え直しながらも
チョップを受けたさっきの箇所を
撫でるようにして体調を案じてくれたことが身に沁み透る。


「ったく…coolにやってくれるな、小十郎?」

「……竜の右目として貴方様のお考えは言うまでもなく
承知しております故……しかし、前にも言いましたように
政宗様がお風邪を召されても一大事…この小十郎も居りますれば
……アイツらの様子を見ても、何も問題はありますまい…」

「…?…小十郎さ…」
「三、四日でも世話をしてやれば情が移っちまうもんだな…
双竜の元へ落ちた小さな鳥……伊達が家紋を象徴する中の鳥が出てきたようだ…」


 小十郎さんと政宗様で話しを進めていく内に分からない
内容へと進んで行くが、何故だか僕を見る
二人の目が柔らかかったから何も言えなかった…。


「Haッ…違いねぇな……get in dragonnail 竜の捕らえた
この手の中から逃すつもりはねぇ…。俺も不思議で堪らねぇが
…これも小十郎が言う情に駆られた弱みになっちまったか…」


 そう言うと政宗様は一緒に添い寝してくれた布団から出て
起き上がると、また僕の頭をひと撫でしていった。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ