〜尊いし眸〜

□惨章
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 とても共感してくれてしまっている部下さん事
政宗様の重臣らしい、彼ら上から順の二名の名は

伊達成実、鬼庭綱元と言っていた…彼らの名
と言えば…小十郎さんを含む伊達の双璧とも有名だ。


 他の方は泣き過ぎていたから、ちょっと聞きそびれた
それは、ともあれ…重臣ならば尚、御偉い様だから
と思ったがそんな事は気にするなとばかり『謙虚過ぎる…っ』

 と言って更に泣きながら優しく接してくれた…
あの泣きじゃくった笑顔で俺達が居るから大丈夫だと。


「……………」


 正直…こんな経験は無かったので恥ずかしさを覚えた
…人が親身になって心配してくれるとはこれ程までに
温かいものだったのか…何故だか、そんな感情を忘れていた。


「聖…安心しろ、これからは俺達が友達だからっ!
体調が良くなったら俺が旨い茶店に連れて行ってやるからね!」

「良いこと言った成実!…だったら俺は
聖を乗せて、マイ軍馬でひとっ走りしてやるぜ!!」

「…ぁ……えと…」
「だ、駄目だろ!宗時のは盗んだ軍馬じゃねぇか、病み上がりに
そんな過激な運動なんて身体に悪いぜ!今の時期ならまだ花見だ!」

「どちらも忙しないですよ…まだ聖には負担が掛かります、無理をさせてはいけません」
「……、……」

「……常識あんのは綱元だけか……おい…テメェら」


 いきなり小十郎さんの、地の底から響き渡るような
ドスが効いた聞いた声が広がり、綱元さん以外
騒いでいた皆さんが慌てて一歩下がり静かになりました…。


『……す…すんません……小十郎様…』
「…ぅう…怖い〜…」

「ふふ…相変わらずですね」

「……ったく…こっちが碌に話し出来ねぇ…」


 呆れに返る小十郎さん…怒ると
やっぱり怖い人だね、僕もびっくりした…

 でも、政宗様や意外にもそれを面白良しかと
成実さん、そして綱元さんも面白そうに笑っているけど。


「良いじゃねぇか、小十郎、知らねぇもんの為に
コイツらがpartyを挙げたいと考えるなんざ珍しい事だろ」

「…政宗様…そうかも知れませぬが…」


 なんか長くなりそう…小十郎さんの眉間に皺が深く
刻まれ始めて…でも政宗様は見慣れてる所為なのか…お構いなし。


「それに、此処最近は忙しかったから、碌に野郎共の為に
partyなんぞ挙げてやれなかっただろ…聖を紹介する
その次いでにたまには息抜きさせてやんのも…」
「なりませぬぞ政宗様、そう言って
余分に休みを取り己の職務を放り出す気か…」

「…ぃ…いや…そんな事ねえって…」


 次第に詰め寄る小十郎さんに政宗様は冷や汗を
そんな様子を日常茶飯事と見て傍観してる家臣の人達。
賑やかなのか揉めてるのか、よく分かんない


…どんな声を掛ければいいのか……困った…。


「……………」

「…たまには良いだろ」
「駄目です」


 うん、面倒だから寝てよう…かな
……何か…政宗様達を見てたら安心できて…眠、く…―――。


――ポスッ…
「!…ぁ……ひ、筆頭、小十郎…小鳥ちゃんが…」
「Ah?……Hum…こりゃまた、安心して寝てくれちまったな…」

「……これでは、本当に拾われた小鳥ですね…」

「……こんな寝方じゃ風邪を引くだろうに…」
「もう一枚掛け毛布掛け毛布…っと」



 この時、僕の意識が無くなるのは思っていたより
早く…何よりも覚えているのは寝ている時
何故だか微睡みに、とても安心出来たこと。




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