〜尊いし眸〜

□惨章
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「Hu…そう戸惑うな、Jokeだ。それよりlittle birdが言うような
crazyなbirdは近くに見受けられなかった……変わりに
聖を拾う前に夜空を飛ぶBig birdなら見たが…」

「!……どれくらい、大きな鳥でしたか…?」
「夜だったからな…clearlyには言えねぇが
…人間を、二〜三人は余裕で喰らえる大きさはあったぜ」

「…………」


 重ねられる余地はある…僕が寝込んでいた時
目の前に現れた蒼空も、それくらいはあった…
怪訝に視線を向けてきた政宗様…その瞳は何処か鋭く


「……、…これから飼う奴の事は知りたいが…
聞くだけでもってのは、野暮かい?」


 出来る限り、相手を深く知ろうと探り寄せる目
…だけど優しさもあるから、怖さはない―――…蒼空の
…鳳凰と言う名の元、仮の姿かも知れないが…それでもアレは…。


「……、…そんな事ないです。………政宗様は風邪で行き倒れてた
僕を拾ってくださり…その上、伊達軍の皆様にまで
手厚く看病して頂きました……寧ろ、聞いて頂きたいです…」


 それでも、動物の言葉を聞けた僕にとって
あの子の声は間違い無く蒼空だった…久し振りに聞いた
澄んだ音色は悲しみに染まっていて
それでもあの子は僕に『生きて…』と言ったんだから。


――タッタッ…
「…政宗様、聖は」
「!……小十郎さんにも…」

「?…」

「OK…小十郎、お前もこっちに来い、聖の話…聞いてやれ」
「……、承知」


 政宗様にそう言われると、小十郎さんは、はっ…
と、傍に来て政宗様の斜め後ろに控えた。
……この人達に出会えたのも何かの奇縁、偶然か必然

 高熱で伏せっていた僕を何の由縁で拾い看てくれたかは
何故かは分からないが、此処にこうして生きてる以上


……生きてしまった以上は


ちゃんと…生きないと…駄目だ。







* * * * *

「――――……僕が此処まで来るのに覚えている事はこれくらいです
…後はあの子と出逢った経緯から…昔話くらいしかないですが」

『…………』


 僕自身の事柄、生きた時代の粗方な説明

 蒼空と出逢い助けた経緯、別れ…そして何故悪化した病の侭倒れていたか。

 こちらに来てから何がどうなっていたかは
政宗様達が答えてくれて、取り敢えずは纏まった。



『ぅ…うっ……』
「!?………、ぁ……ぇ…と」


 ただ、何時の間にか話してる間に増えていた
政宗様と小十郎さんの更に後ろにしんみりと控えてる部下さん達
感受性豊かだ…何で泣いちゃってるの…。


「テメェら…情けねぇ面してるんじゃねぇよ…」

「だっ…だってよぉ、こじゅ……聖の話し
聞いて泣くな、なんてよぉ…無理な話しだって…」

「…そうですよ……苦労しましたよね…一人で誰も頼らず…」

「…ダチ公さえ…奪われて悲しかったよな……」
「それでも一人頑張って…病に伏せって…目も変わっちまって
……くそぅ…酷い人間も…居たもんだな…っ」




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