〜尊いし眸〜

□惨章
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 僕の説明に小十郎さんは理解したかのように
溜め息を吐いた―――…や、僕だって柄にもなく
驚いて疲れたんですよ。不良を目の前にしたらさ…。

 二人の前で言えないけど…。


「ケホッ……はぁ…ぁ…?」
「…熱は昨日より下がったな……調子はどうなんだ?」

「……だ…大丈夫…です」

「そうか…それなら良いがな―――…小十郎」
「はっ」


 何だろ……此処に来て僕…政宗様によく熱を計ってもらったり
頭を撫でてもらったりだ、それに安堵してる自分も居る。


「!……あ、の」
「病み上がりなlittle birdはもう少しお寝んねだ」


 自分で歩けると頭から被っていた掛け毛布をずらし
見上げて言ってみたが有無言わさず小十郎さんに抱き上げられた

 ついでに疑問めいた単語が一つ。


「こ…小鳥…?」

「今、この伊達軍の中で聖の噂はawfulだぜ?
『小鳥の君』なんてcuteなnameまで付ける奴が居やがる……。
ま…それだけ野郎共に気に入られたなら俺も安心なんだけどな」



 面白気に言う政宗様に思わず脱力感を覚えた
……キュートじゃないよ政宗様…全然僕に合わない名だよ
『小鳥の君』って柄でも無い気がするんですが
…人に気に入られてるのなら、嫌とは言えない…。


「す、凄まじい…ですね……僕が寝ていた間に何が起こったん…でしょう…」

「…野郎共で勝手に勘違いして噂を持ち上げちまったんだろうな
……それより聖…政宗様を少なからず知ってるなら
当然かもしれねぇが…『伊達軍』と聞いても
全然驚かねぇなんて…本当に俺達の事知ってるのか?

…まさか、何処ぞの『箱入り息子』とかじゃねぇだろうな?」


 部屋に戻される途中、不思議に問うてくる
小十郎さんにはこっちが首を傾げた
ってか距離が近いから、恐い、顔恐い…警戒発令する

 分かるけど…今の距離が恐い…何だか尋問されてる気分。


「あ…あの……伊達軍はちゃんと知ってはいます、よ?」
「Ah?…何で疑問系だ?」

「…?………??」


 僕の頭が可笑しいんだ…なんか…大事なことを忘れてる
彼らを知ってる…知ってるけど、何処で知ったのかが。


『筆頭ォォー!!小十郎様ァァ!
すみません!小鳥ちゃんがぁァァアア!!……ぁ…』

「ひッ…!!」
「?!…おっ…お前な…」
「っ…り…リーゼンっ」


 思い出そうと手繰り寄せ記憶を邪魔したのは
滅茶苦茶記憶に悪いを突き出しているリーゼンとマスク

 部屋からぞろぞろ出てきました……ずっと待っててたの…。


「お…お前、何処に隠れて…」

「す…すみません…条件反射で…こ…小十郎さんの
コートの、中がつい…非難先に…み、見えて…」

「……little birdに懐かれたな…小十郎サンよ?」

「ま…政宗、様…」


 未だに安全地帯と定めた小十郎さんのコートの中では
顔から入り込んだ為、政宗様の様子まで
分からない、しかし…少し不機嫌そうな声がする

 政宗様…小十郎さん取ったからjealousy……かな…違うかな。


「つーか小鳥ちゃんよ!急に起きたりしちゃ駄目でしょ!」
「ぇ?…あ……は、はい…」

「馬っ鹿!お前自分で分かってねぇだろ!
お前のその顔に驚いちまったんだよ!」

「何言ってんだ!お前なんて小鳥ちゃんの寝顔をマジマジと
見つめるからだろ!そりゃ驚いちまうのも無理ないよな?」

「へ………あ…の」




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