薄桜鬼〜孤独な彼岸花〜

□拾参
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 夕餉も過ぎた夜

 障子の向こうで揺らめくのは二つの影……。


「…、……」

「…………っ…」

「………我慢強い子ですね…」


「ぐ……っ…」

「…素直になったらどうですか…?楽になりますよ?」

「……っう?!…なっ…なるものか…っ…」


 チッ…案外一はしぶといようだ
この手は使いたくなかったが
仕方ないから手伝ってもらうか。


「忍んでる……琥朗」

「……普通この状況で、俺を呼びますか?」

「文句ありますか……? 同じ風になりたいですか?」
「…スミマセン…」

「では……追加」
「…りょ…了解」

「?!」


 仕方ないでしょうに、一が素直じゃないから
俺は暴れないよう肩を押さえ
琥朗が怪しげな薬を一に飲ませようとした。



――――が…迫る苛立ったような足音?

―――スパァンッ!!

「ゴルァ!!話は聞いたぞ縁!!"幹部格で実験"すんのは禁止って前にも注意しただろうがっ!」

「えぇ〜、だって…一に試せば面白いことになりますって」
「オメェは限度ってのを知らねぇだろうが!」


 素晴らしい音を上げた障子を開けたのは鬼の副長でした。


「?!……ぁ、やば…(ドッキリ」
「ぅむ!?げほっ、ごほっ(驚愕、怪しい薬を飲んだ」


「あれ…琥朗、飲ませてしまいましたか?」

「……副長の登場に驚き思わず手が滑った……」

―バタッ
「さっ、斎藤ッ!?」
「あ、気絶しましたか……ふむ」


 ずっとお腹を抱えて何かに堪えていたような
彼でしたが第二投薬により一時気絶しました

 副長は慌てて駆け寄り安否を確認
大丈夫だって生死は絶対問題ないから。


――ガバッ!
「組長?!」
「斎藤!?」

「大丈夫ですか?、一」


「……………、うにゃ……に…?!!」

「「は?え?」」

「あ、成功だ、良し」
「…にゃぁ……ぅにゃ…!?」

「いや…は〜……か、可愛いですね…(萌えて抱きしめ」
「?…ぅ…うにゃぅ…(まんざらでもなかった」



 第二投薬実験成功

第一投薬、試験薬
【ワライダケ】

本人の根性により失敗

第二投薬 試験薬
【子猫になるかもびっくり薬】


 部下の許容範囲外の驚愕により投薬
でも結果は耳と尻尾と猫鬚が生えて大成功

 しかも声まで猫になっちゃて
まぁ…大成功過ぎて俺の理性が飛びそう。


「副長、この子を俺にください、最後まで
幸せにします、琥朗も責任持ちます(抱き」
「え〜…俺、巻き込まれただけですよね
…命令されただけですから、無罪だって…(げっそり」
「うにゃ…っ…(沸騰中」

「…………(怒り爆発三秒前」


「そういや斎藤組長は何時までこのままで?これ、初投薬品だろ…?」

「原液のまま濃度を薄めずいっちゃっいました
ですからね……大凡、三日と半日くらいでしょうね、」

「中途半端な日数だな、縁さん、本当に大丈夫か?」

「………、大丈夫です」
「間が信用できないんだが」
「にゃう…(同感」


 どうせなら戻らなくていい
そう思ったら目の前に鬼オーラが。


「オメェは根本的に身体に叩き込んでやらねぇと分からねえみたいだな
……後で俺の部屋に来いや…逃げたらどうなるか分かってんな……?

「えぇ………ぁぁ…は…はぃ……」

「……霧賀埼…手伝え…ありったけ幹部連中にやってる
試験成功薬、救護室と薬剤室から集めてこい…(妖笑」
「しょ…承知……(とぼとぼ」


「「………」」


 副長は部屋から出て行きました
どうやら、俺に明日はないやも知れん。


「…一…俺に何かあった時は琥朗達を頼りなさい
あの子たちには遺言の置き手紙は残しておきます」
「にゃにっ?!(縁起でもない」


「じゃあ、あの三馬鹿に頼りますか!
それとも、総司に頼りたいですか!」
「…にゃ?!……ニャニャ…(不覚」


 そう言って俺が指差したのは副長が
開けっ放しにした障子の向こうで覗いてるのは勿論


「「「「大丈夫、副長/土方さんに最後まで同席するから」」」」


 並びに覗いていたのは総司、平助、左之、新八
しかも彼らまで楽しんでるのは言うまでもなく


「…分かりましたね…?」
「…にゃ…(うむ」


「………副長にお呼ばれするまで、俺…一と最後まで
一緒に居ますからね(シクシク、一にゃんこ撫で撫で」

「…にゅ〜…(泣くな、と言いたかった…」




 一にゃんこと居られたのは実は数十分
意外にも早く効果が切れたのは想定外


 だが俺の絶命が切れたのはすぐ後だったとか…。



 記憶が飛んで一がにゃんこになったことも
残念なことに忘れてしまいました。







おわれ
(エロなんて目指してないです、ギャグを目指しました(笑
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