〜尊いし眸〜

□十参章
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 二人が僕を見る眼差しは優しかった……双竜の目は真剣に
僕を見据えてくれて…全てが温かった…久しぶりに改めて感じた

 人の体温…否……竜の抱擁。


「……っ!!」
「!!…、聖…?」
「?!…自分から抱き付き返すなんて、大胆だな、聖…?」


 小十郎さんの掌を握り締め…政宗様に振り返って
抱き付いた………僕も失いたくない…もう、二度と。

「……………」

 もう二度と…同じ苦しみは味わいたくない。


「……聖?」


 絶望したくない、此処で生きると…鋪乃と約束したんだから。


「……政宗様も小十郎さんも…僕の目の前から、居なくならないで
………置いてかないで…失いたく…ない……もう、一人は嫌です…」

「―――…当然だろ…俺達はlittle birdの前から
消えたり、置いてったりなんて絶対にしねぇよ…」
「!……」

「政宗様の仰る通りだ…だから聖…オメェも、俺達の前から
消えたりするな、勝手に居なくなったりするなよ…」

「……、…はい」




 僕はこの世界で強く生きたい…足掻いてでも
"生"にしがみつく事を覚えたい……二度と
失ってはならない大切なモノを護れる程に……。


 目の前の現実から死に逃げず強く生き
…強い心を持って、僕自身が見ているだけでは無く


 何時かは護る道を選べるように…。










――サァァァァ……ガサ…
「?……、…」









―――……だけど、僕の心は強い侭で在れるか分からない



 再び人間に裏切られたり

 無惨に奪われたり

 大切なモノを殺されたりしたら…





―――…僕は…『僕の侭』で居られるだろうか……。






……叶うなら…この穏やかな時が長く続いて欲しかった…――――。














to be continue…
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