薄桜鬼〜孤独な彼岸花〜

□八
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「…いや…どうしましたか、じゃないよ
名前呼んでも上の空だから心配したんだけど?」


 そう言って頬を膨らます平助に、思わず
微笑を浮かべて彼の頭を撫でた…少し嫌がる素振りをするも
本気で避けてはいないので何度かは撫でては終わり。


「ふふっ、縁君は少しお疲れ気味なのかしら?」

「いえ…問題ありませんよ」

「あらあら?でも…お二人は仲が宜しいのね…
貴方達を見ていたらまるで兄弟みたいで
私まで微笑ましくなってしまいますわ」

「……はは、兄弟ですかまあ……それは
それで面白いですね…そう思いませんか、平助?」


 何か根本的にズレた気がする。


「それ…やっぱ…縁君が俺の兄貴分みたいなもんになっちゃう訳?」
「そんな感じですね」

「ふふ、それは良いわ…なんて魅力的な兄弟かしら…」
「…み、魅力……?」

「魅力的って…そりゃちょっと大袈裟だよ伊東先生」


 伊東参謀…やはり貴方は何度思い返しても苦手です
何だって、平助もこんな人に心酔するかな…

 彼の掲げる志を…離れなくても成せるだろうに。


「はは……」


 今も、こんな人に構ってる暇は俺には無い…
時間は…もう無いんだ―――…この人が来た所為で。

『あの人』の居場所も奪われている…


 無残にも焦らされているんだ……早く治さないといけないのに
刻々と迫る時間は…何時も待ってはくれない…







―――これからの新選組は……俺も



 今朝、一が言ったように瓦解するのか



 崩れてゆく…始まりなのか…。












to be continue…
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