〜尊いし眸〜

□十弐章
1ページ/7ページ






「…ゲホッ……ッ…」
「!!…綱元さん、もう、大丈夫ですから僕を降ろして下さい…」

「……聞けぬ願いです…私の身体の事を心配しているのなら不要ですからね」


 もう少ししたら伊達陣営に着く…しかし
綱元さんが走ってる最中に咳き込むものだから
心配になって降りると言ったが彼は拒んだ


 やはり…少し前に出会った半兵衛さんの影響なのか

 感情的な…何か、様子がおかしい…。


――ダッタッタ……バッ
「……、あ!綱元!やっと戻ってきた…って、どうしたの
そのなり?!聖も、足の怪我どうしたんだよ!!?」

「少々、豊臣の兵に囲まれてしまいましてね…
成実…貴方が無事だと言う事は、政宗様もご無事ですね…?」

「嗚呼……梵なら小十郎と何時も通りに敵をいびり負かして
俺の出番無し……って、今はそんな場合じゃないだろーが!
おーいッ!梵!小十郎!聖と綱元がやっと戻って来た!!」


 裏手陣営にて丁度、陣から出て来た成実と鉢合わせしたが
彼は心配そうな表情を浮かべた後、ハッとして陣の中に駈け入り叫んだ


「しかも二人共怪我してる!」
「What!?」
「何だと…深手なのか?!」


 前から聞こえるのは綱元さんの掠れた苦笑の声
…僕達も陣営の中に入り政宗様達の所に向かった。


「全く…成実、誤解させないで下さい
…聖は確かに怪我をしてしまいましたが…」

「いや、でも又、何時もの心配性が顔に
出てたから何か他にもあったのかと思って…」


 勿論、一瞬は驚きの色…だが綱元さんから降りてちゃんと
向き合えば三人も向き直ってくれて…頭を下げた…僕が悪いから。


「……すみません…僕の我儘で綱元さんには迷惑を掛け
…政宗様達には、要らぬ心配を掛けました…」

「!…違います政宗様、聖を連れたのは私で…」
「Non talk…綱元……お前は喋るな」
「…!……っ…」


 綱元さんのフォローも甲斐無く、政宗様は
何時もより暗い言葉で制され、会話は閉ざされた

 それにより気を使ってなのか成実さんが綱元さんは
無言で僕と離れさせたので自然と今の状況は
政宗様と小十郎さんと自分のみに至った。


「…………、聖…怪我は足だけか?」

「……、はい」

「そうか…小十郎…聖と……いや…お前も含めて三人で話がある
…他の奴らにはこっちに来ない様に人払いをわ伝えに行ってくれ」
「はっ……」






次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ