〜尊いし眸〜

□十章
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―――……知っている…彼は"竹中半兵衛"…
豊臣秀吉の親友にして豊臣政権、最高の参謀

 伊達軍の軍師 片倉小十郎や智将 毛利元就と同等
…否…それ以上の智を持つ人物が何故この様な場所に…。



――キュゥッ…キュッキュッ
「?」

「!…ぁ…早くお行き。……もう離れちゃ駄目だよ…」

――キュッキュッ!!


 そんな事を考えていたら服の胸の隙間から親子貂が顔を覗かせ
僕はこの二匹を半兵衛さんに抱き上げられた侭だったが
二匹はお礼を言うなり上手く飛び降り、何度か振り返り

 森の奥へと二匹、静かに走って行った。


「……君は…あの二匹を助ける為に、あんな危ない木の上に居たのかい?」

「……ぁ…はい…子供を助けてって……親の貂に言われたから」


「なるほど……、どうやら『伊達軍の小鳥の君』は
動物とも話せると言うのは事実か……本当のようだね?」
「!?」


 が、それを話したのは失言だったか…
どうやら半兵衛さんは僕の事を知っていた。


「…安心したまえ、僕は君に害を成したりはしないよ
…それに小鳥と言うのは人の手に乗って
その可愛らしい声音を愛らしく奏でるものだよ?」

「!…冗談なら…他で…お願いします…僕は別に…鳥では……」

「ふふっ…君には冗談に聞こえたかい?
そんな綺麗な眸で言われると、少し残念だな…」


 物腰柔らかい侭、微笑みを浮かべている
半兵衛さんの考え……今いち、掴めないな…。


「……、あ…の…」

「…話がしたかったんだよ…今や各国の武将が奥州に落ちたと
騒ぎ立てられ噂する『巨鳥の子』『小鳥の君』を…ね」


 しかもこの状態すら何時まで続けるつもりなのだろうか。


「……何故…?」

「何故?…分からない訳ではないのだろう?『小鳥の君』とは
明らかに君の事だからだよ…"鋪乃 聖ちゃん"……いや
"君"付けかな…男の子だったね…そう言っておこうかな」
「!……、…」


 敵意すら…本当に感じないから、分からない


 彼の考えが薄幸で…僕にすら…遠目で見詰めるから。










to be continue…
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