〜尊いし眸〜
□八章
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「………政宗、様…?…一体…何が…?」
「!!…聖っ!」
「ゎ…っ?!……、?…」
ぼんやりとした目覚めは感極まった政宗様の
突然な抱擁で覚醒した、恥ずかしさと温かさが僕を包む
「ま…まままっ、まま…政宗殿ォォ!!こ、ここ
この様な場で…は…ははは、は、は…っ、破廉恥でござっ…!?」
「旦那、落ち着いて」
視界に映ったのは、武田軍と信玄さん、顔を真っ赤にして
あわふてめきながら佐助さんに口を塞がれる幸村さん
そして伊達軍、小十郎さんと僕を包む政宗様…。
「……聖…悪かった…辛い思いをさせた…何処か痛むところはねぇか…?」
「…何で?政宗様が謝るんですか…僕は辛い思い…してない
……身体………まだ…動かないけど…痛みは無いから…」
「……動かない…のか…」
「…やっぱり……」
言葉を間違ったかも知れない…小十郎さんと佐助さんが
深刻そうな表情を浮かばせ、政宗様もとても険しい目付き。
『……聖…』
「…!………蒼空…?」
そんな最中、優しく見据えるは蒼くも
毛先に淡い朱を持つ…初めて見る人………否…違う
この人は……
…この子は蒼空だ…雰囲気で分かる…。
『…そう…聖が、夢現で我を呼んだ…
だから姿を顕した…基姿<ゲンシ>は人が畏れ…惑う
"竜の名を持つ者"と"虎の名を持つ者"は問題無い…
だが…人の子が集まる…だから、今は人の姿をとる』
「…そっか……ごめんね…」
少し俯き気味に謝れば、蒼空は淡い笑顔を向けた侭
身体には力が入らずに顔だけを向けた侭
…ぶら下がった僕の手を、両手でそっと握ってきた。
『…聖…此処で"生きる道"…見つけられた…?』
「………、うん…今度は…ちゃんと、しっかり
"誰かと生きてみたい…"心からそう思えた…」
「……なら……良かった…」
初めて出会った時のように温かく…そして突然と再び風が吹いた。
――ヒュウゥゥゥ……バサッ!!
「っ…!……蒼空…」
"…聖の気持ちは伝わった
……竜や虎…人と共に大地を歩める
痛みは…癒やした
……我は汝、汝は我…汝在るところに我は在る
この者達なら――聖が信頼出来うるものなら
我も信頼しよう………何かあらば
何時なり、我が名を喚べ……我は…
…"汝生る全て"なり…"
―――バサッ、バサッ…
「…ぇ……」
。