〜尊いし眸〜

□泗章
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 何故だか頭を下げて、何を焦っているのか分からないが
長々云々と述べられた真田さんの質問内容に
何とか理解して返答してみれば、彼は大きく頷く

 反対に猿飛さんは、しょんぼりとしたり
首を横に振ったりと忙しそうにしていたが…。


「……幸村、佐助、鳥の客人は…おお、目が覚めておったか
此度は私情によりお主を無理矢理に連れて来させてすまなんだ
…先ずは武田が主 この武田信玄が深く詫びよう…」
「そ…某目も深く、お詫び申し上げまする!!」


 ふと、この部屋に現れたのは
甲斐の虎と言われた 武田信玄がその人…。


「……いえ、武田様…別に僕は気にしておりません
…理由についても真田様と猿飛様から聞いておりま…」
「あー…ちょっと待って……小鳥ちゃん…
……えっと…そだ、先に名前を教えてくんない?」

「…ぁ…鋪乃 聖です」

「……聖…ちゃんで、いっか……先ず俺様に敬語は無し、畏まらないでね」
「?…」


 突然何を言い出すかと思ったが、彼曰く慣れないのと
一応、勝手に僕を攫った立場だからとのこと

 それに伴ってまさかの真田様と武田様まで出来れば
名で…親しみ易い風に呼んでくれと言われ
一時、話しが折れたが、改め直した。


「……、僕の事も呼び捨てでも構いません…では…佐助さん
幸村さん、信玄様…こう呼ばせて頂いても宜しいですか?」


 年上に対して敬称を外すほど僕は図太くない
ギリギリ範囲がさん付けとし、そう言うと
三人はそれでも満足したかのように頷いてくれた

 名で呼ぶだけでも…親しみって湧くものだ…。


「うむ、して…早速で悪いのだが、件の
巨大鳥の話しはお主と関わり有るものなのかのう?」

「……、はい…ただ…他言は出来れば避けて頂けませんか?
…僕を…助けて頂いた、伊達政宗様…
伊達軍の皆さんには迷惑を掛けたくないんです…」

「やはり…何か訳有りのようじゃの…。うむ!
この甲斐の虎 武田信玄は他言など絶対にせぬと約束しよう」
「聖殿!某が率いる真田隊、忍隊も他言は一切致しませぬ故ご安心召されよ!」

「うんうん、俺様も口は固い方だから安心してよね」

「……有り難うございます」


 信玄さんの温かみに続く彼ら
火の温かさ、安心した…うん、大丈夫

 この人達は信用出来る…


 何故だか分からない


 けど彼らの目は真っ直ぐで安心を抱ける


 何だか伊達軍をも思い出す気持ちになるから…





 だから、きっと…大丈夫――――。






to be continue…
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