〜尊いし眸〜

□弐章
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「―――……政宗様、心配ですか?」


 政宗と小十郎は部屋を出ても聖の部屋の前の縁側に
再び居座っていた―――…障子戸は人が一人通れる
隙間が開いている…そんな様子を二人は今少し
見守っていたが、そんな折りに小十郎は政宗へと尋ねる。


「Ah?…なんだ…突然…」

「…いえ…この小十郎、政宗様が会って日も浅い聖と言う者に
あの様なお優しい顔をなされるとは思いもしませんので…」

「……小十郎だって、そんな顔してたが?」


 政宗は否定するでもなく肯定もしない
だが強いていうならば小十郎の言う通りだったのだろう
肯定を同じ様に問い返しながら夜空を見上げた


「…風邪だったからかも知れませんが…余りにも冗談には
聞こえない顔で言われましたのでね……知らず表出たのでしょう」

「……Ah、そうだったな……しかし、あんなに警戒してた
お前までが一瞬で緩んだな?…まさか気に留めてくれるとも
全然思わなかったぜ……聖の眸…良い眸だったろ…?」


 小十郎は顔を俯けたが彼も政宗の言うことには否定出来ずじまい
後者にも頷けたらしく、思わず笑みを浮かべ


「…そうですね…あの眸……もしや…政宗様は
あの不思議な色をした左眼を悟り、気に入ったのでは?
…それにちゃんと見えていた事も…尚更…」

「……All bingo」

「…フッ……まぁしかし、理由はともあれアレは
今の世に居るような人間とは違う……小さな光が灯った…
精一杯に生きようとする良い眸を持ち合わせていましたぞ」

「♪〜、へぇ…小十郎がそこまで奴を見据えるとはな
…良い拾い物をした、この先も…退屈しねぇで済みそうだ」

「そうですな……」


 この時、二人で眺めた夜空は不思議なくらい綺麗だったと


 何時もなら他人には靡かない筈の伊達軍でさえ
聖を見ては、皆で珍しく気を入れた…
一時は隠すなり、後の処置をどうするかなど考えを巡らせた


 だが、その必要はやはり無かった…人間か
あの夜空で見た巨鳥かどちらでも構わない
羽ばたけるならば、目の前で見てみたいのだと

 二人は障子の向こうで眠る聖を一瞥しながら
夜空に浮かぶ星々をスッと見て思った。








to be continue…
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