〜尊いし眸〜

□壱章
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―――キュゥゥルルルル……―――――


「Ah?なんだ…こんな夜に Big bird たぁ妙じゃねぇか…」


 街道を馬で駆け抜ける蒼の行列、その先頭には
手綱を持たずに腕を組んで馬を乗りこなす
弦月の兜、右目には眼帯をした独眼の男…

 戦国武将にして名高い彼の有名な奥州筆頭 伊達政宗。


「渡り鳥でしょうか…あの高さからでは把握
出来ませぬがこの辺では見掛けない鳥ですね
……しかも想像してるより大きな鳥……む?…何か…啣えてる…」


 して隣に並ぶは左頬に大きな傷を持つ者
竜の右目としても有名な腹心、片倉小十郎、


 そんな伊達軍、奥州が領地 米沢城に
戻る道中、頭上を飛ぶ鳥の大きさに先ず不審を抱いた。


――キゥゥ…ルル……

「ひ、筆頭!あの鳥、何か落ちてませんか?!」

「馬鹿か!完璧に落ちてるじゃねぇーか!しかも
よく見たらあんなデッカい鳥、落ちたらヤバいですぜ頭!」


 皆で馬に跨りながらの観察だったが突然の出来事
頭上を飛ぶ鳥は苦しそうに翼を
羽ばたかせられずになり落ちていく様に伊達軍が騒ぎ始めた


「…あの辺りは集落があったな……あんなのが落ちたら
不味いか…仕方ねぇ…!オメェらには集落の警備を頼む!
俺は小十郎と正体不明の珍獣探しと洒落込むぜ!Come on!」
「政宗様!…全くあのお方は…っ」


 部下達に命令すると政宗は一目散に馬を駈け
小十郎も心配そうに急いで後を追った。





* * *

―キゥゥ…
(………ゲホッ、ゴホッ…)


 此処にまでに飛び渡り幾人と、この鳥が
目撃されていたとは露知らずに巨鳥は消えた…。


(っ……ぅ…はぁ…はぁ……)


 深い森に残されたのは、誰かが小さく苦に咳き込む声
ただ森のざわめきと共に苦しそうに…辺りに響いた…。



「小十郎、回りには気をつけろ、何時何が出てくるか分かんねえ
……竜が鳥に喰われた…何てのも洒落になんねぇぜ?」
「分かっております…政宗様も御油断召されるな」


 そして気配を殺してやってきたのは先程の政宗と小十郎
城が近くの為、領主であれば放置出来ないのが
当然だったが政宗事態は好奇心故に…

 しかし小十郎からしてみれば危険か
そうじゃないかを確認しなければ見過ごす事は出来ない。


(…ゲホッ……ゲホッ…は……)

『!!』


 が、足を歩めるうちに聞こえる
"人が咳き込む声"が二人が視線を向け、姿を捉えた。


「…………」


 ぐったりとして動かない…人を


「…さっきのbirdは……見掛けねぇな……罠にしても
…他に気配がない……あれは明らかに、人だよな…」

「……その様で…どうやらあの者だけのご様子……、…
何やら妙です…先程から肩で息をしてるように伺えますが…」







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