〜尊いし眸〜

□序章
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 PM 1:58――

「ゲホッ…ゴホッゴホッ…ぅ…ぁ」


 只今、盛大に風邪を拗らせている"僕"は寝込んでる

 何故、拗らせたかと言うと…取り敢えず
病院に行くのが面倒だった、只それだけ

 お陰でこの一週間、熱は40、0℃に留まりっ放し
中々下がってくれない上に一人暮らしだから、どうしたもの

「…人肌恋しいってのは、この事………でも…面倒だから…」

 しかし、この事態に駆けつけてくれたお隣様方が
僕の面倒を見てくれたのでまだ意識は
ちゃんと保てているだが、それが熱に膿まれる限り
何時までもこの状態は危険なのは分かってる

 だが面倒臭がり性、故に今迄、救急車を頑
なに拒んだ為、自業自得の結果に
ここまで悪化したのは何時の話しだったか、忘れた。

「…は……死ぬ…かな…これじゃぁ………今晩は…夜晴れ」

 ふと、そんな事を考えてたら
初めて意識が朦朧としてきた、不思議な感覚
不味い…これは本格的に身体を駄目にした。


―――バサッ、バサッ……
「?……ぅ…ゴホッ、ゴホッ……はぁ…窓の外に大きな鳥の幻覚が見える
……死のお迎え……?死に際に見えるのは
…宝船って聞いた事が…嗚呼……どうでもいいか…」


 視界には鳥の形だとは確認出来るが姿ははっきり分からない
只、分かるのは、その鳥は何時の間にか
窓の外からではなく、目の前で僕を見下ろしていた

「……温かい……迎えなら……ご苦労様…
どうせ動けないから…勝手に……宜、し……く…ね」

 何故か安心出来る温かさを放って
僕の意識は何時の間にか無くなっていた…。




―――キュゥゥルルル……―――

「……きれ…い……。………」


 それが死ぬ事だったのか、気失っただけだったのか。





――――次に目が覚めるまでは、分かる筈も無かった。







to be continue
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