×恋愛模様×

□×キライ×
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――最近苛々するんだ


毎朝7時50分、緑(リョク)は学校に行く為家を出る。
パタパタとスリッパ独特の音を響かせ見送るのはエプロン姿の冥牙(メイガ)
彼は緑…否、彩牙(サイガ)の兄。
彩牙と言うのは緑の本名。
緑は一年前にこの町で目を覚ましそれ以前の事は何も思い出せないでいる。
身分証明もない未成年が一人で暮らして行けるはずもなく一時期孤児院に居たが柚都騎(ユツキ)と言う刑事さんに引き取ってもらいお世話になっていた。
今は肉親も見付かり兄と暮らしている。
「弁当持ったか?」
「忘れ物ないか?」
『アンタ…俺をいくつだと思ってんの?』
正直こんな兄にウンザリしている。
冥牙は困った様に眉を下げ苦笑する。
『忘れ物ないよ、行って来ます』
冥牙の姿に溜め息を漏らし玄関を出るが忘れ物がないか鞄の中身を確認する。
「行ってらっしゃい。知らない人に付いて行っちゃダメだぞ」
エプロン姿で手を振って見送る冥牙の姿に恥ずかしくて小走りで学校へと向かった。
『…(今時アレは無いよね)』
毎度の事ながら冥牙には呆れる。
でも実際付いて行ってしまう人が居るからしつこく言う訳で…――。
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