×恋愛模様×

□×赤ちゃん×
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ドタバタと騒がしい足音が廊下に響く

「よう!!」
勢い良くドアを開け色黒の男が入って来た
『…貴様、毎度毎度何の用だ?貴様のニヤけた面を見ると苛々する』
「相変わらず酷ぇ言い様だな。まぁ、聞けよ」
あからさまに嫌な顔をした目の前の小柄な男を気にする様子も見せず中へと入る。
この色黒の男は陽炎と言い最近田舎から出て来た漁師だ。
『居座るなうっとうしい』
そう悪態を吐きつつも毎回部屋に入れてしまう。
「隣ん家の奥さんがよ〜、赤ん坊産んだんだよ」
『誰もそのような事聞いておらぬ。帰れ』
一体何を言い出すかと思えばこの男は…
「この間抱かせて貰ったんだケドよ、ちっちぇの何の」
溜め息を吐き背を向けてしまった明日を全く気にした様子も見せず大きな手を広げ赤ん坊を抱き上げる様な仕草を見せる。
『私とて暇ではない。用がないなら帰れ』
「小せぇのに俺の手を一生懸命握ってくれんだよ。」
アスの言葉は右から左へ受け流され小さい命の誕生を己自身の事の様に喜ぶ。
己は己、他人は他人のアスにとっては理解し難い心境だ
「俺達にもあんな頃があったんだよなぁ〜って思ってよ」
うんざりだと言わんばかりに冷たい視線を寄越す明日に満面の笑みを見せる陽炎。
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