個人用

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10/04(Wed) 19:14
夢の蝶と現実の蛾
Black Sky

寂しいものですね、一人って



そんな少女の声が、虚しく部屋中に響き渡った。


Code.黒空。


それが今の名。


昔を捨てた、少女の名。


まわりを忘れた、少女の名。


今日も今日とて、お仲間さんは任務に勤しんでいる。


そんな時、彼女は夢に入る。


幸せで


暖かくて


みんなが迎えてくれる


誰も除け者にならない


除け者にしない


そんな楽園の夢。

PC
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10/04(Wed) 19:58
夢の蝶と現実の蛾 2話
Black Sky

何がしたいんだろう



仲間が居なくなる度に思う


一番の役立たずが居て何になるんだろう



考えては寝て、考えては寝て、


次第に体は弱っていた。


痩せ細っていないのは呪われているから。


何の変化が数百年もないのは呪われているから。



死すことすら出来ないのも、呪われているから。




そんな自分が憎かった。



憎くて憎くてしょうがなかった。



この世から存在ごと消えてしまいたいと思った。


だが、その想いは常に仲間が出て行くのと同時に消えてしまっていた。

PC
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10/04(Wed) 20:05
夢の蝶と現実の蛾 3話
Black Sky

いつしか彼女は、自らを傷付けた。


死ねない躰を利用して。


これ程までに救われた感覚に陥るのは初めてのことだった。


躰から総てが離れていくようで。


不安も、怒りも哀しみも、果てには喜びも。


総てが星になるようで、飽きなかった。





だが、それもたった一時のことだった。


日が経つに連れて薄れる自傷の効力。


そして戻ってくる不安。

それでも、喜びは戻って来なかった。


彼女は願った。





星に…全てを見下ろせる星になりたかった。



と。

PC
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10/05(Thu) 12:20
夢の蝶と現実の蛾 4話
Black Sky

今日は雨が降る


その予想は的中した。

豪雨という形で。


自身の躰は濡れずとも、心はとうの昔にずぶ濡れだ。


いつまで経っても暖かくなんてならない。


話しかけてくれる優しい仲間が居ても。


頼りにしてるよ!


と言ってくれる仲間が居ても。


どうかしたの?何かあったら言ってね!


と言ってくれる仲間が居ても。



何があっても、雨が止むことはなかった。



それどころか、しきりに雨脚は強くなっていくばかり。



星になりたいという願いも忘れ



次第に彼女は、生ける屍と同等になってしまった。



話を掛けられ、辛うじての反応は返す。


だが、最低限のこと。



それ以上は何もしなかった。


することはなかった。


否、出来なくなっていた。



まるで死んだかのように眠りにつき、



暖かく、やわらかく、優しい夢を永く見て、



朝陽が昇れば、死人が動き出すかの如くゆったりと、それでいてぐったりとしながら振り絞って起きる。



今まで元気に怪物討伐をしていた姿が嘘のようだった。

PC
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