個人用
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05/20(Sat) 17:50
中二の時に書いた小説に加筆修正を加えてみた
あおやま
「私は…大丈夫、だよ…サリド…」
「永愛…っ!申し訳ございません、私がもっと強ければ貴女は…!」
暴走していたサリドを止めるために、永愛は『自分の寿命』を使っていた。
そして今、彼女に残された寿命は…5分だけだった。
「…そんな事言わないでよ。サリドは十分強いよ…」
「…私が強ければ貴女に無茶をさせずに済んだのです。貴女の命はもうもたない。つまりそういう事です」
永愛はなんとか立ち上がって、サリドを抱きしめた。
「私は、サリドに殺されるなら…本望、なんだよ?だから大丈夫!」
永愛はサリドに安心してほしいらしく、可愛らしい笑顔を浮かべた。
「ですが…」
「…」
(もう少しで『時間切れ』みたい…なら。)
永愛はそう思い、『この時の彼女にとっては』最期のキスをした。
サリドも、察していたのだろう。
暫くの口付けの後、永愛は言った。
「サリド、愛してる…。どうか、幸せに生きて……」
そして、彼女はふらりとサリドの方へと倒れた。サリドはそれを受け止めて、
「永愛!永愛!!目を覚ましてくださいッ…!」
彼がどれだけ望んでも、永愛が目を覚ますことは無く___
「永愛ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”…!!!!!!!!」
悪意が世界を包む。
世界が壊されないように、創世神と女神達は怪物を捕獲した。
永愛の死から、永い時間が経った。
サリドは彼女を弔えなかった。
女神を殺した罪深い男神は、創世神の手によって天界への出入りを禁じられた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
永愛 side
「ん…?」
私が目を覚ますと、そこには見慣れた天井があった。
(私は死んだはず…なのに、生きている?)
戸惑っていると、初世様が来て
「やっと目が覚めたみたいね。貴女は私の治療のお陰で生還する事ができたのよ?」
「…そういう事だったのですね…なら、行かないと…」
(サリドに、私は生きてるんだって言わないと…!)
その想いと共に私は初世様の家もとい実家を飛び出した。想像能力で創った旅行の準備を手に持って。
「永愛!?」
初世様は何故か追いかけない。
今の私にとって、それは好都合だった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
??? side
私は、おそらく長い間暴走していたのでしょう。
あの子を…永愛を失ってから。
正気に戻った私がまず最初にしようとした事は…
『自分自身を虚無で消すこと』だったのです。
ですが…出来ませんでした。
永愛が、私に『生きて』と望んでいるのだから。
私は、貴女の望みを叶えなければならない。
それが貴女への償いです。
たとえ、貴女が許さなかったとしても。
私は貴女に償い続けなければならない____それが正しいのです。
ああ、
貴女に償うのなら…もう一つしなければならない事がありますね。
貴女が愛した『サリド』は、暴走し挙句の果てに最愛の人を殺すような愚か者です。
……これはきっと、貴女を嫌がらせるかもしれません。
ですが、私はケジメをつけなくてはならないのです。
どうかわかってくださ…否、貴女に理解を乞うとは……どうやら私は愚か者を辞められないようです。せめて、名前だけでも。愚か者をやめることを誓いましょう。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
私の名は『オールゼロ』
何もかも失った、愚かな誰かの成れの果てだ。
PC
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05/20(Sat) 17:51
続き
あおやま
初世 side
「……全くもう」
私はわざと永愛を追いかけなかったわ。まあ……もし未来が良くないものになるなら、ついて行って改変しておけばいいもの。
いい未来になるかもしれないのについていくのは、正直言ってめんどくさいのよね…
(ふたりの未来でも視ようかしら?)
私は想像能力で永愛とサリドの未来を覗き見したけれど……そうね、結果は言わない方がいいかもしれないわね……?
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
オールゼロ side
以前、あの子は旅行に行きたいと言っていた。人間の世界を巡りたいと。
正直、あの子が居ないのにあの子の行きたいところに行くのもどうかと思ったが……
それでもあの子への償いになると信じて、私は旅暮らしを始めた。
最初に泊まった宿で、私はあの名前を捨ててから初めて自分の容姿を見た。
身長は、かなり伸びている。
顔つきも、男性的になった。
頭に2本のツノが生えているが、このサイズなら日常生活に影響をきたすことはあまり無いだろう。
(容姿が影響を受けたのか?暴走したことに?まあいいだろう、生きられればそれで良い。)
「さて…」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
二人は旅を始めた。
彼女が訪れた場所は彼の訪れた場所と殆ど一致していたことを彼が知るには、まだ時間がかかるだろう。
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永愛 side
再会は、あまりにも突然だった。
私は、草原の中で歩いていた。
きれいな花をときどき見かけた。
嗚呼、歩いていて楽しい。
たしか最初は、長い時間歩くことに慣れなくてよく足が痛くなっていたけれど、もう慣れてしまった。
そして人影を見かける。それは、
(…!サリド…?)
その後ろ姿は、かつての貴方とかけ離れていた。
だけど…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
オールゼロ side
私があの子の幻を見たのはあの日だったはずだ。
何の変哲もない草原を歩いていたら、突然、背後からあの子の幻に腕を掴まれた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「えとっ、サリド…だよね?」
永愛はオールゼロの腕を掴んで言った。
「…残念ながらその名は知らんよ」
(私には…貴女に触れるどころか、貴女の幻を見ることすら、許されない。)
オールゼロはそう言って、どこかへと転移した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
永愛 side
掴んでいた腕の感触が無くなって。
「どうして……」
涙が溢れて。
溢れて、溢れて、溢れて、溢れて。
顔をぐちゃぐちゃにして、漸く理解した。
きっと、あの後サリドは暴走して…
…私のこと、忘れちゃったんだ。
「それ、ならっ…仕方ないっ…よね…」
私はまた、サリドに声をかけるかもしれない。
その度に、サリドに迷惑をかけるかもしれない。
だって、サリドにとっては『知らない人に突然声をかけられ続ける』って事だから。
きっとそれは、サリドにとって迷惑で、怖いことだと思う。
………サリドに迷惑はかけたくない。
なら、『感情を消せば』サリドに声をかけたいと思う事も無くなるし、サリドに迷惑をかけることもないし。
すっごくいいアイデアだと、自分で思った。
せっかくだから、何か特別なことを思えなくなる前に。
恐らくは、もう二度と。
本人に言えないのに言いたいことを、思おう。
サリドは私がいなくたって、きっと大丈夫。
どうかサリドが幸せでいられますように。
そして私は、私の感情を封じた。
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
……。
感情の封印は成功した。
身体のどこにも異常はない。
ここに居る理由もない。
わたしは、異空間をつくりそこに引きこもった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
オールゼロ side
「どうして……」
遠いところに転移したはずなのに、なぜか。
あの子の声が聞こえた。
(幻聴…?)
「…くっ」
幻聴とはいえ、その声は私の心を強く締め付けた。
己の罪が蘇る。
この苦しみもまた、私に課せられた罰なのだろう。
「……行かなくては」
目頭が熱くなる。それに構わず私は歩み続ける。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
罪が許される日が、もしも来るならば。
その日まで、否、きっとそれからも。
私は、永愛という可憐な女神のことを。
自らの手で殺した、最愛を。
絶対に忘れない。
忘れてはならない。
(貴女を……忘れるものですか)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
1ヶ月後…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ある日突然、異空間に『箱』が現れた。
なぜか身体がその箱に吸い寄せられる感覚がする。わたしは箱を開けた。
すると、別の世界線に飛ばされて…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「これは…?」
宙に浮く箱を見つめ、私は戸惑う。
無意識にその箱を開けた。
視界が白くなる。そして、白い彼女はそこにいた。
PC
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