坂道長編

□在り来りな少女漫画みたいな恋をしたかった
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高校3年目にして3度目の春にもなると大人たちは受験を意識させてくるし、周りの同級生たちは恋愛話で持ち切りだ。


高校生最後の年だからと焦っている人もいれば制服デートをしたいという願望を持っている人がいて色んな春があるなぁなんて達観している私にみんなは言う。


「由依って恋愛に興味ないよね。」


なさそうって曖昧な言葉じゃなく、ないとはっきり決めつけてくるような口調に若干イラッとした。

別に興味がないわけじゃない、ただ単にそこまで思い込めるような相手に出会えてないだけだ。

でもどうせ反論しても「結局理想が高いだけでしょ。」と上から目線の言葉を投げてくるから無駄なことでしかない。

私は目の前にあるレモンティーをスプーンで掻き混ぜて落ち着きを取り戻していると1人の友人が「今からカラオケ行こ。」というマイペースすぎる予定変更を言ってきた。

周りはそれに乗っかりすぐ様椅子から立ち上がる光景を見てまだ中途半端に残っているレモンティーに申し訳なさを感じながら渋々私も立ち上がった。







「…。」

「由依ちゃん、ポテト食べる?」

「普段なんの曲歌うの?」

「髪サラサラだねーっ。」


あの後駅前にあるカラオケに入った瞬間、偶然にも同じ学校の同級生たちに出会った、その偶然に喜びテンションを上げた友人たちは「じゃあみんなで入ろっか。」という流れになり広すぎるパーティールームに案内されたのだが…。


「由依ちゃん、恋人いる?」

「…いないけど。」

「へーっ、こんな可愛いのに勿体無いね。」

「もしかして理想が高いとか?」


私はこのグループとあまり話したことないから1人端の方で座っていたのにわざわざ隣に座ってきた距離感の近い同級生たちに戸惑う。

髪に触れてきたり足が綺麗だと言っては凝視してきたりと…まるで獲物を狙っているハイエナみたいな目をしている彼女たちに恐怖を感じた私は空になりそうなグラスを持って部屋を後にした。
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