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□久々のデート
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ー その後‥
牧はカバンから紙袋を取り出し、テーブルの中心に置いた。
「綾、高校入学おめでとう。
俺からのお祝いだ。受け取ってくれ。」
「…!えっ、これ、私のために…?」
「ああ。」
綺麗にラッピングされたそれを開けると‥
化粧箱の中には
桜の花びらをモチーフにした、パステルピンク色の腕時計が入っていた。
「わぁ…素敵な時計…!
紳ちゃん、どうもありがとう。大切にするね!」
思ってもみなかった、突然の贈り物に満面の笑顔の綾。
牧は頬杖をつきながら、彼女の顔をじっと見つめている。
「どういたしまして。
喜んでもらえて良かった。」
「でも、高かったんじゃない?部活も大変な時期なのに…ごめんね。」
「心配は無用だと言ったろ?
俺の方こそ、いつも側にいてやれなくてすまない…その時計を俺だと思って大事にしてくれ。
たまには彼氏らしい事してやらないとな。」
「ううん、何もしてくれなくても
こうやって紳ちゃんと一緒に居られるだけで、私は充分幸せだよ…!
本当に、ありがとう……」
「綾……」
この笑顔を曇らせたくない、守りたい ‥ー
そう心に強く誓った牧だった。