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□わだかまり。
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ある日の放課後、可愛いらしい女の子が綾に話しかけて来た。


「えっと、春野さん…だっけ。
ちょっと良いかな?」


「…?あっ、確かあの時、屋上にいた…
赤木キャプテンの妹さん!」


「うん。晴子って言うの。よろしくね。」


「私の方こそ、よろしくね!
あ、名前は…」


「" 綾 " ちゃん…よね?」


知ってるよ、と晴子に先に言われてしまった。すると彼女は長々と話し始めた。


「お兄ちゃんが教えてくれたんだけど…
この間の騒動のあと
るっ…流川くんを看病してあげたのって、綾ちゃんなんでしょ?

これは私の予測なんだけど、
流川くんって綾ちゃんの事が好きなんじゃないかな…って思うの。
名前で呼び合ってるみたいだし……」


「…!?」


「そっ、そんな訳ないよ!
確かに看病はしたけど…楓くんは恋愛になんて興味無いですって顔してるし、
急に名前で呼べだなんて言って来たからだよ。私はからかわれてるだけだと思う。

…と言うか、晴子ちゃんって楓くんの事…?」


「!!

……うん、好き…なんだ。」


「そっかぁ。晴子ちゃん、今すっごく恋する乙女の顔になってたよ。可愛い!
よーし、じゃあ私が恋のキューピッドになってあげる!」


「ううんっ、私は別に…
それに綾ちゃんの方がずっと可愛いわよぅ!
あの海南の牧さんが夢中になるのも分かるな。」

「えっ…あ、ありがとう。」


綾は頬を紅潮させながら、ゆっくりと話す。


「もしね、楓くんが私の事を好きだって言ってきたとしても…
私は彼以外の人とは付き合えないよ。

…なかなか会えなくて、メールや電話も時々しか出来ないけど……それでも良いんだ。負担にはなりたくないし、辛い時には支えてあげたい。


ーー‥彼の事が、大好きだから!」


…だから安心してね。と、ニコッと笑った。


晴子は驚愕した。
なんて芯の強い女性(ヒト)なんだろう‥とても同い年とは思えない。
すごいな‥と、単純にそう思った。


( それでも…流川くんは綾ちゃんの事…… )


彼女の本音を知る事が出来た晴子。
ほんの僅かだが、胸のわだかまりが取れた様な気がしたのだった‥‥
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