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□海南大・男子バスケ部 一日体験! 第一章
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ピピピ‥‥


「ん〜、もう朝かぁ……」


日曜日の早朝4時。
携帯電話のアラームか、或いは小鳥のさえずりか…
綾は眠りから覚めた。
春〜夏にかけては日の出の時間が早く、あっという間に朝になってしまう。

ムクッと起き上がった彼女は朝のルーティンをこなし、1階にあるキッチンへ。
エプロンを着て気合いも十分だ。


「さ〜て、頑張りますかっ!」


綾が張り切って作っているのは恋人の牧率いる海南大附属高等学校・男子バスケット部への差し入れだ。
ざっと見ても20人ほどいる部員の為に、せっせとお弁当を作っている。

トントントン…

シャカシャカ…

コトコト…

ジュ〜…

その手つきは実に軽やかなものだった。
鼻歌まじりで、大きな重箱やタッパーやスープジャーにおかずをたくさん詰め込んでいる。

( えっと、おにぎりにサンドイッチでしょ、あとは玉子焼きに生姜焼きにお味噌汁とデザートと…
よし、こんなもんかな? )


「あ…これは秘密にしとかなきゃ……」


「あら、何が秘密なの?」


「!?」


突如話しかけてきたこの人物は、綾の母である。


「お、お母さん!もうっ、びっくりさせないでよ!…おはよう〜。」


「おはよう、綾。
何よ、朝っぱらからこんなにイイ匂いさせてたら誰だって目が覚めちゃうわよ。

…それにしてもすごい量!
今日は一段と多いのね〜。」


「そうかな?彼に会うの久々だし、
みんな頑張って練習してるから私も何か力になりたくて…
って、湘北のマネージャーなのに変だよね。」


そう言うと‥ふふふっ、と母は笑った。


「ちっとも変じゃないと思うわ。
今度、湘北の皆にも作ってあげたらいいじゃない。
それに、さっきのは牧君にあげるんでしょ?いいわねぇ…青春よね〜。」


「! う、うん。」


「また家に連れていらっしゃいな。
牧君になら、安心して娘を任せられるもの。いつでも大歓迎よ。

…さっ、車で送ってあげるから準備してきなさい!」


「ありがとう、お母さん。
あ…お父さんにはお弁当の事、言わないでね!バレたらうるさくなるし、恥ずかしいもん。」


「はいはい。」


綾はササッと身支度を済ませて自家用車に乗り込み、彼に1通のメールを送信した。


To : 紳ちゃんへ

おはよ〜!
今、お母さんの運転でそっちに向かってます!待っていてね。


To : 綾へ

おはよう。今朝も早いな。
了解、校門の前で待ってるよ。
道中気をつけてな。


バックミラーに映る娘の楽しそうな表情を見て、母も嬉しそうに微笑んだ。

( いい顔しちゃって。
相変わらず、ラブラブなのね…♡ )
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