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□咆哮
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惜しくも試合に敗れてしまった湘北。
やはり2m越えの魚住と、キレ者のエース・仙道が率いる陵南は強い。


「「 ありがとうございました!! 」」


解散後‥‥

「流川、桜木。
俺を倒すつもりなら…死ぬほど練習して来い!!」

二人を挑発する仙道。言い返す言葉も無い。

( にゃろう…… )

( ぐぬぬ…センドー!! )


その光景を見ていた綾。すると…


「綾!!」


「し、紳ちゃん…!」


振り返ると、なんと愛しの彼がいた。

部活帰りなのか‥‥白いTシャツに海南のジャージを身にまとっている。


「「 …!!? 」」


海南大附属の帝王・牧紳一。
突然の登場に、皆は驚きを隠せないでいた。

先日、綾が彼の恋人だと騒ぎになっていたためお互いの関係を知ってはいたが‥‥
実際に二人きりでいる所を見るのは初めてだった。

( あれが…綾さんの恋人の、シンチャン… )

(! 牧…あいつが… )

( 牧さん! )

( 牧…… )

( 海南の、牧紳一… )

( 牧さん!アンビリーバブルや!! )


「紳ちゃん、突然どうしたの?
もしかして…試合を見に来てたの?」


綾は牧の元へ駆け寄る。


「いや…たまには一緒に帰ろうと思ってな。
それに、わざわざ敵の手の内を知る必要も無いからな。」


「ふーんだ、余裕たっぷりだね?
今日は陵南に負けちゃったけど…ウチの湘北は強いんだからね!」


試合後と言う事もあり、彼女は少しご立腹だ。


「フッ……
そう怒るな。可愛い顔が台無しだぜ。
本音は、お前に会いたかったからだ。」


「えっ…ご、ごめん…

私も、会いたかったよ…… 」


頬を紅潮させる綾。
牧は微笑みながら、さり気なく荷物を持ってあげた。

その後‥‥キッと鋭い目つきに変わり、皆がいる方に大声で叫んだ。


「赤木!仙道!
ここにいる奴らも全員!

インターハイ・決勝リーグで待っている!!!

俺達を倒したければ、ついて来い!!

…話はそれだけだ。じゃあな。」


((( …牧…!! )))


「…綾、すまなかったな。帰ろう。」

「うん…」

そう言い放った牧は振り返り、
再び彼女を優しい眼差しで見つめる。
公衆の面前で頭を撫でられ、恥ずかしさが止まらない。


( 紳ちゃんがあんなこと言うなんて、どうしたんだろう…?)


「皆さん、今日は本当にお疲れ様でした!失礼します!」


綾は慌ててペコッとお辞儀をし、足早に体育館を後にした。

牧の隣を歩く彼女の横顔は、とても幸せそうだった ‥ーー


残された者達はその場に呆然と立ち尽くしていた。
それもそのはず、海南の牧紳一が突如として現れ挑発をしてきたのだから‥‥


(( …上等だ!! ))


( 牧さんの彼女だったのか!
…どうりで、魅力的なワケだ。
ますます興味が湧いちまったな。

負けませんよ、俺も。)


( チッ……綾は渡さねーって事か… )

( 二人とも…何て表情してんのよ。

それにしても、牧のあの勝利に飢えた絶対的な存在感……息を飲んだわ。とんでもない男ね… )

( 海南の牧さんと、湘北のマネージャーさんはまさかの恋人同士!?

…よ、要チェックや!! )

( 今日はお姫様の護衛は必要なさそうだな…良かったな、春野さん…… )
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