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□告白
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「春野さん、ちょっと良いかな…?」


放課後、水戸はおもむろに綾を屋上へと誘った。


「水戸くん…?
どうしたの?何かあった?」


真剣な顔つきで見つめる水戸。


「……単刀直入に言う。
春野さんは牧ってヤツの事…好きなのか?」


「えっ…!? う、うん……」


綾は頬を真っ赤に染める。


「…!!」


俯きながら話すその姿に、居ても立っても居られなくなり‥

綾をギュッと抱き締めた‥‥


「!?ち、ちょっと、水戸くん!?

や…離して…!」


少し乱暴的に力を込めながら抱き締める水戸。
綾は何とか離れようと胸を押し必死に抗う。

が、男の力には敵わない‥‥


しばらくして、彼はゆっくりと口を開いた。


「俺…春野さんの事が好きだ。」


「…!!」


「悪い。さっき西東さんと話してるの、聞こえちまったんだ。
勝手な事言ってるって、分かってる。
彼氏がいるのも知ってる。

…けど、どうしても伝えたかった。」


水戸は腕を解放し、綾の顔を優しく見やる。


「水戸くん…わ、私……」


「おーっと!
それ以上は言わないでくれよ。
俺の一世一代の告白だったんだからさ。」

「…俺は見ての通り、不良だからな。
こんな卑怯なやり方しかできねぇ…
だけど、春野さんを想う気持ちは、その牧ってヤツにも負けてないと思うぜ。
返事はまだいいから…
今はボディーガードでいさせてくれないか?
絶対に守ってやる。何があっても、な…」


「水戸くん……

こんな私を好きになってくれて、ありがとう…」


「…あぁ。これからまた部活だろ?
そんな赤く腫れた目で行ったら、殺されちまうな、俺。

花道にも、流川にも……」


「え…?」


「いや、何でもねぇ。それじゃあな。」


水戸は最後にボソッと嘆き、去って行った。
その後ろ姿をずっと見つめていた綾。

(水戸くん…)


高校に入学して、初めて友達になろうってお願いした、水戸洋平くん。
見た目は怖そうだけど実はとても優しくて、頼り甲斐があって…

貴方はいつから私の事を…?

今までどんな想いでいたの…?

知らず知らずのうちに、傷付けていたのかも知れない……
全然周りを見ていなかった自分に、腹が立つ。

これからは、ちゃんと見ていよう。

でも…これだけは揺るがない。

私は" 彼 "の事が、大好きだから……
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