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□おしゃべり。
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先日、牧との関係をカミングアウトした綾。
その情報は学校中に広まってしまい、大騒ぎになっていた。
学校の門では「号外〜、号外〜!」とビラを配る者や放送部員にはインタビューをさせられたり、挙げ句の果てには教員達からも質問の嵐が……
本音を言えば、彼女は参っていた。
軽率だった自分を反省したのだった。
( はぁ…紳ちゃん、助けて〜〜。)
教室に入っても皆の視線が自分に集中している事が分かり、居心地が悪かった。
そんな中‥‥
突然話しかけてきたのは親友のカナだった。
「おはよう、綾!」
「カナちゃん、おはよう…」
明らかに元気の無い彼女を心配するカナ。
「ちょっと、大丈夫!?
私も今朝この記事を見て驚いたけど、 綾の言ってた彼氏って…
この人だったんだね。
見た目も大人っぽいし、すっごいイケメンじゃん!いいな〜♡」
「 う…うん。」
顔を真っ赤にして頷く。
「何か色々大変みたいだけど…ホントに大丈夫なの?
ほら、人の噂も七十五日…だっけ?
その内きっと収まると思うけど。
元気出しなさいよ、綾!」
「ゔぅ…ありがと、カナちゃん。何だか気を遣わせちゃったみたいでごめんね。」
「ぜーんぜん!私は綾の味方だからね。綾を困らせる奴は許さないわよ。たとえ、牧くんでもね!
ねぇ、今度
彼に会ってみたいんだけど…ダメ?」
「ありがとう。
うん、いいよ!
この間カナちゃんの事を話したら向こうも是非会ってみたいって言ってたから。…何か、元気出てきたかも?」
「良かった良かった。
じゃ、楽しみにしてるわ。
と言うか、やっぱり綾は笑ってた方が可愛いって!」
「…!?」
私が保証する!と言い放つカナ。友達っていいな…と実感すると共に、先日のデートで牧に言われたある言葉を思い出していた。
ーー‥
《 お前の笑顔が好きなんだ…
そして、俺を強くする。
だから…笑っていてくれ…綾…… 》
( 紳ちゃん…… )
「ちょっ、顔が真っ赤じゃん!
…さては何かあったなー!?」
「えっ…な、何も無いよ〜!」
「そんな顔して言われても説得力ないっつーの!
…でも良かった。愛されてるんだね、綾。
綾もそうだけど、
案外、牧くんもライバルが多くて大変な思いをしてるのかも知れないね……」
からかわれているのかと思ったら、突然落ち着いた声のトーンになったカナ。
「そ、そうなのかな…?」
( ありゃりゃ、まさかの自覚ゼロ?
これじゃあ前途多難ね…
でも、そこが綾の良い所なのかもね? )
そんな女子二人だけの会話だったが、
偶然にも小耳に挟んでしまった同じクラスメイトの流川と水戸‥‥
心中穏やかでは居られなかった。