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□実は…
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バスケ初心者の桜木は名前を聞いてもいまいちピンとこなかったのだが‥‥
綾の真っ赤になった顔を見て、すぐにその意味を理解した。
50人のフラれ記録は伊達じゃない。


(まさか…そんな…嫌ダァァァァァァ!!
嘘だ、嘘だと言ってくれ…!!!)

(…マジかよ……)

( 牧め…いつの間に… )


しばらくはこの話題で持ち切りだった。

それほどに彼の‥牧の存在感はとてつもないものなのだ。
先ほどのキレのある動きも彼からの受け売りだと知り、合点がいった。

しかし綾は正直言って、困惑していた。


( もしかして…
言ったらマズかったのかなぁ…?
でも、隠す理由も無いし…… )


綾は言葉を選びながら大声で叫んだ。


「あ、あの…!私が混乱を招いたのなら…本当にごめんなさい…!

入部した時に言った通り、私は
この湘北高校男子バスケ部のマネージャーとして皆と仲良くなって、青春を謳歌したいなって思っただけなんです。

だから…

全国制覇の夢、一緒に叶えましょう…?」


今にも泣きそうな表情で、精一杯のお辞儀をした。


「「 …!! 」」


すると赤木キャプテンが近付いて来て、綾の頭をガッと掴んだ。


「…その意気だ。

海南は俺にとって脅威でもあり、目標だ。いつかお前の彼氏を…牧を、必ず倒す!!
そう伝えておいてくれ。」


「ゴリ…」


「ゴ…キャプテン…」


「キャプテン……はいっ!

ありがとうございます。
彼も…キャプテンとの戦いを楽しみにしてると言っていました。
良きライバルなんですね…?」


綾は心底嬉しそうに笑った。


「「 !! 」」


赤木の心遣いが身に染みたのだった。


( ふっ、牧はこの笑顔にやられたのだな。
…春野は罪な女だ。
ウチのバカ共にも、よく言い聞かせんといかんな… )


「 綾…俺も負けねー…

全国に連れて行ってやる。」


「え…? (あ、名前…) 楓くん?」


「ふぬーーっ!
キツネ!!カッコつけてんじゃねぇ!

……綾さん、俺も、そのシンチャンって奴には絶対負けませんから!
応援していてくださいね!」


「桜木くん…うん!もちろん応援するよ!二人とも、頑張ってね…!!」


((…牧め…許さん!!))


闘志を燃やす男たち。


( 綾…このコは本当に、魔性の女ね…… )
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