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□久々のデート
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店を出た時には、辺りは薄暗くなっていた。
「綾、家まで送るよ。」
「うん、ありがとう…」
帰りの途中、小さな公園に寄り、
ベンチに座った。
( おかしい…さっきから、綾が一言も喋らない。)
心配になり顔を覗き込むと‥
「し、紳ちゃん……私っっ…!」
「…!?」
綾が突然、泣き出した‥‥
ぐすっ‥
「私、本当は、もっと…紳ちゃんと一緒にいたいよ……離れたくない、
大好きだよ…」
「…!!」
いつも元気で…ワガママひとつ言わない綾が
涙を流し、俺に本音を爆発させている。
ここまで我慢をさせていたのか…と、
やるせない気持ちで胸が一杯になった。
ー そして‥
牧は綾の肩を引き寄せ、ギュッと強く抱き締めた‥‥
「! 紳ちゃ……」
大きくて、逞しくて、あったかくて‥‥
綾もそれに応える様に、両手を背中に回した。
「俺も…綾の事が好きだ…!!」
「…!」
「俺も、ずっと側にいたい。離れたくない…
お前の笑顔が好きなんだ…
そして、俺を強くする。
だから、笑っていてくれ…綾……」
「 紳一 …… 」
綾は嬉し涙を流しながらニコッと微笑んだ。
抱き締める力を更に強め、二人は口づけを交わした。
何度も、何度も‥‥
ーー
「紳ちゃん、送ってくれてありがとう。
今日はとっても楽しかったよ!
…途中、泣いちゃってごめんね。
おやすみなさい。」
「ああ。俺も楽しかった。
また今度、会おうな……おやすみ。」
お互いを、信じ合う。
二人の恋の結末は、夜空に舞う星々だけが知っているのだから ‥ーー